■ homesickness...
下水を歩いていると名前が泣きそうな顔をする。
黒子はそれが心配で理由を尋ねた。すると名前は家に帰りたいと言うのだ。
『本当はテツヤとHazard timeっていうゲームしようとしてたんだよ』
「なんですか、それ」
あまりにも唐突にだったものだから黒子は溜め息をついた。
『ゾンビを倒すゲームだよ。それで私が少し寝て、気がついたらHazard timeの世界に来てたんだ』
はにかむ名前は焼夷弾を握り締めていた。
「つまり、ここは名前さんからすればゲームの世界ということなんですね」
『まぁね。本当の私は運動オンチだし、銃なんか初めて持ったよ』
黒子は梯子をみつけて先に登る。名前が先に上ってしまったらスカートの中の下着が丸見えなのだ。
「そうなんですか。ボクはいつも通りの名前さんだなって思ってました。怖いクセに強がって殴ったりマシンガンを乱射したり」
Hazard timeの黒子と名前もあまり変わらないのかもしれない。
相棒のホームシックもよくある話だったから、黒子は名前のことを相変わらずだと思った。
『はぁ…、私、このあとラスボスと一緒に窓から落ちてしまう運命なんだよね…』
梯子を登りきったところで黒子は名前に手を差し延べた。
「そんなことさせません。絶対に」
名前は黒子の手を掴み梯子を登りきった。こちらの世界でも黒子は男前だ。
『期待してるよ』
梯子を登りきった先には下水は無く、赤いドアがあった。血生臭い。
「彼女を守るのは彼氏の仕事です」
赤いドアの先へ私たちは進んだ。
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