■ fight...

黒子は拾った焼夷弾を握って物陰に隠れていた。
名前と合流する前に嫌なモノと合流してしまった。ただのゾンビなら二回ほど殴れば良いのだが名前が命名した五臓六腑ゾンビはそんな程度では勝てない。

焼夷弾は何個か持っているが恐らく接戦には向いていない。そして足元の水も考えれば勝てる見込みなど一つも無かった。

「(こんなときに名前さんが来たら終わりだ)」

まだ来ないでくれと黒子は願った。そんなとき、五臓六腑ゾンビの真上の天井がギシギシッと砂を落とし、ついに大破してしまった。

バシャーンと天井の破片が落ち、黒子は思わず息を呑んだ。

緊張が張り詰める中、天井によって押し潰された五臓六腑ゾンビの血がじわじわと下水に染み出す。

『あいたた…』

聞き覚えのある声に黒子はハッとした。

「名前さん!!」

『いった…、テツヤァ、あの穴から落ちたんじゃねぇのかよ…』

無事なようだが何故か名前が怒っている。

「どうしたんですか?唐突に」

『テツヤが落ちたかもしれない穴に飛び込んだら、ゾンビをサーフィンボードにウォータースライダーしたんだよ…』

どういうことかは分からないが、とにかく怖かったのだろう。

「それは、すみません」

きっと名前が飛び込んだ穴は黒子が落ちた穴では無いと思うが、黙っておこう。

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