■ 4秒




 22時過ぎ、黒子の部屋が明るいのに気がつき、名前は中を覗いた。
 中では黒子がバスケの雑誌を部屋の隅に置かれたベットに寝転がりながら読んでいる。

『(いいなぁ、ユニットデスクじゃないのか。その分部屋狭そうだけど)』

 その様子をしばらく眺めているとバスケ雑誌を床に落とし寝返りをうつと、抱き枕を抱きしめているのが見えた。

「……………………」

『………(マジかっ!?)』

 名前はホームシックに浸る黒子を見ていたが、だんだん可哀相に感じてくる。
 なんだろうか。母性本能がじわじわと湧き、思わず黒子の部屋に入っていた。
 そして、黒子のベットに腰掛け頭を撫でた。
 黒子がピクッと動き、もごもごと抱き枕に顔を埋めながら何かを言う。

「侵入禁止じゃないんですか」

『…だってホームシックなんでしょ?』

 子供をあやすように頭を撫で付ける。
 数日間過ごして黒子が可愛いと思えた。今まで黒子同様に恋愛沙汰は無縁だった。これは恋なのか、問うても分からない。

「………否定はしませんよ」

『なんかカッコイイのにホームシックになるなんて残念なイケメンだよね』

 わざと黒子の背中に背中を向けてベットに寝転がる。

「……ボクはモテたことはないです。カッコイイだなんて桃井さんという人しか言いませんでしたし、イケメンは初めて言われました」

 黒子が寝返り名前を後ろから抱きしめた。
 名前は苦笑する。

『慣れって怖いね。テツヤくんって可愛いから許しちゃうんだけど…』

「そういうことは別の男には言わないでくださいね。あと可愛いは心外です」

 そんな声を聞きながらウトウトとし、目を閉じては開けを繰り返した。
 そんな沈黙が3分ほど続き、黒子は少し起き上がり名前の顔を覗き込んだ。

「…寝てますね」




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