■ 2秒



 寝心地の悪さに目が覚めた。時計は7時過ぎで、起きるにはちょうど良い時間である。
 大学の入学式前ともあり春休みはのほほーんとした雰囲気だ。

『(…慣れないベットだからかなぁ)』

 ギシッと音をたてて寝返りをうつ。鼻血が止まった名前の鼻にトンッと壁にぶつかる。
 それで目を開けた。

「おはようございます。起こしに来ました。朝ですよ」

 黒子が寝そべっている。

『…………』


 思わず固まった。ぐるぐるまわる思考に彼が一体誰であるか、何故名前のユニットデスクの上にあるベットに寝ているのか。

「………?名前さん?」

『………いっやあああああっ!!なんでベットにいるのよ!?』

 彼から離れる為に目の前の胸板を押す。
 黒子はただ驚いた様に、近所迷惑だと言った。

 
「………名前さん、静かに」

『うむっ!?』

 ぶちゅっと唇に唇が触れる。抱きしめられる腕が背中を伝い名前の髪を撫でた。
 そして完全に思考停止した名前はグテっと唇が離れるまで抵抗すら出来なかった。

「………ふぅ、落ち着きましたか?というか夕べボクの部屋に入ったんですからお互い様でしょう。侵入禁止のルールが…、って聞いてます?」

 ユサユサと名前を揺するが、反応がない。



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