■ 癖
黒子が目の前で勉強をしているのを見て、名前は真面目だなぁと感心する。
テストも何もかもが中途半端な名前はきちんとやり遂げる黒子を尊敬している。
「ボクなんか見てないで勉強してください…」
『え?だってバカらしいし?』
「それで学力が人並みとかムカつくんですけど」
『頑張れ、若者』
「……………」
同い年のはずなのに不適切な単語が入り混じり黒子は無表情で名前を見つめる。その無表情にはドヤ顔ウザいとも読み取れるような気がして名前は思わず噴き出した。
『…ブフッ!』
「何がおかしいんですか」
黒子の左手がうなじをさする。名前はそれを見て黒子の手元の問題を見た。
『その問題の答えはy=2x二乗のグラフ書けば分かるよ』
「…え」
何で、と黒子が言いかける。疑問の対象になったのは問題ではなく名前が黒子が問題を解けずに悩んでいたことに一発で気がついたこと。
『……テツヤって、わかんない問題があるとさ、すぐうなじをさするんだよね』
「……そうですか」
黒子の"癖"を知っていた名前。言われるまで気がつかなかった。
『因みにさ黄瀬は照れると耳を触るよ。あと大輝。大輝は巨乳のお姉さんを見つけると顎に手を当ててガン見してる』
「いらない情報ありがとうございます」
黒子のため息に名前は勝ち誇ったように笑顔になる。
『人の癖って面白いよね』
「あまり良い気分では無いですね…」
黒子がグラフをノートの隅に描きながら言った。
『それから赤司くんの変な癖も知ってる』
「………それは興味ありますね」
『実はね赤司って恥ずかしいとジャージとかブレザーの裾を引っ張って萌え袖にしたり、悔しいと前髪弄るんだよ』
「…それは普通の反応じゃないですか?恥ずかしいともじもじしますし、悔しいと前髪弄るフリして顔を隠したりしますし」
フッフッフッと笑いながら名前がシャープペンでトントンと黒子のノートを叩いた。
『まぁ、それはそうかもだけど、寂しくなったり悲しくなると赤司くんて生徒手帳にはさんである犬の写真を見て話し掛けてるんだよねぇ〜』
「………誰得情報ですか」
全く想像がつかない話に黒子は唖然とした。
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