■ ゴリゴリ君
日曜日、幼なじみの家でグータラしていた。
幼なじみは黒子であるが、友達のような関係だ。
クーラーがよく効いた部屋は蒸し暑い、梅雨にはもってこいである。
「名前、だらし無いですよ」
一階からゴリゴリ君を持ってきた黒子が呆れ顔で名前に言った。
『えー、いーじゃん』
スカートをギリギリまでめくり、あぐらをかいて座っていた名前がゴリゴリ君を受け取りながら、口を尖らせた。
「よくないです。目のやり場に困りますから」
『別にパンツ見たくらいで怒んないよ』
そういう問題じゃないと黒子は溜め息をつく。
名前の隣に座ると、ハーフパンツから黒子のひざ小僧が顔を出した。
「そんなもの見たくないです。反吐が出ます」
『失礼だなぁ』
袋から出したゴリゴリ君を二人でシャリシャリと食べる。
「………」
『あっ…、テツヤ』
名前が最後の一口を食べて、部屋の隅にあるごみ箱に、アイス棒を投げ入れた。
カランと音を立ててごみ箱に収まる。黒子はそんな名前の様子に感心する間も無く、アイス棒を握る手に冷たい物が伝った。
「あ」
溶けたアイスを舐めようとするが、それより早く名前が黒子の手を舐めた。
「あっ!?名前!何してっ」
『何って、アイスが垂れてたから』
「馬鹿ですか」
『うるせー』
黒子のアイス棒に残っていたゴリゴリ君を食べた。
「あッ…!」
『うまー!』
黒子がプルプルと悔しそうにアイス棒と名前を交互に見る。
名前がごちそうさまと言ったところで黒子が怒った。
「ボクのゴリゴリ君ですよ!?」
『怒るなって』
「許しません」
黒子がアイス棒をごみ箱に放り投げる。名前同様にごみ箱に収まった。
『今度シェイク奢るから』
「いやです」
ガキかと突っ込む名前の声も虚しく、黒子に押し倒され、思わず目をつむった。
『バッ、ばかっ!!なにして』
名前が薄く目を開くと、黒子のドアップが見えて、驚きで声にならない声を上げた。
『テッ〇#*@※(;´Д`)ノシッ!!!!!!!!!!ふぐうっ』
ふぐうっという声とともに、黒子の唇に塞がれた。
名前は何がなんだか分からずに、黒子の胸板を押し返す。口内に入ってきた舌が絡まり、更に混乱させた。
「っふう」
やっとかっと離れた黒子は達成感に満ちた顔で、名前を見下ろした。
『……テ、ツヤ…』
「ごちそうさまでした。やっぱりパンツ見たいです」
『!?』
「ムラムラしました」
『!!??』
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