■ 4秒
タツヤをあやし、再び寝かしつけると、名前はタツヤの白い額に口づけた。
『おやすみ、タツヤ』
黒子もタツヤの頬に頬を重ねる。
「おやすみなさい」
パラソルの下で三人は寝転がっていた。タツヤを真ん中に寄り添う。
名前が寝息をたてた所で黒子はムクリと起き上がり、携帯片手に、名前の花柄パンツを写メった。
そして何事も無かったかのように寝転がり、タツヤごと名前を腕のなかにしまいこんだ。
***
「キャー!!黒子くんそっくりじゃないの!」
リコの一人部屋で黒子と名前は床に座った。リコも床にすわる。
『かわいいでしょう?テツも昔はこんなに可愛かったのかなぁ』
「今もかわいいでしょう」
真顔で言い放つ黒子に名前は、えーっと文句ありげに口を尖らせた。
『今は男前というか、かわいいというよりカッコイイの方が似合う』
「…相変わらずのリア充ね」
リコがタツヤを抱き上げるとよしよしと背中を撫でる。
「なんとでも言ってください」
黒子が言えば、再びリア充とリコが罵った。
『私たちがリア充でも良いけどリコ先輩、お願いしますね』
「任せなさい!」
力強く言ったリコは生き生きとしており、名前は一先ず安心した。
「カントク、…料理は」
「大丈夫!お父さんが作ってくれる」
未だに実家暮らしのリコは、一人暮らしを許してもらえないらしい。
リコのご飯でタツヤの死亡フラグが無くなったところで黒子はホッと胸を撫で下ろした。名前はリコの料理を食べたことは無いが、黒子曰く殺人的マズさらしい。
「二人とも、タツヤくんは私が面倒見るからラブラブしてきなさい」
二人きりになるのは久しぶりなんでしょ?とリコがウィンクする。
リコの言葉に名前は顔を赤くした。
「それにさ、二人とも呼び方変わったでしょ?」
確かにそうだが、それが何なのだろうか。そこから始まるめくるめくリコの妄想。
「二人がベットに転がれば、黒子くんはまず、名前ちゃんのブラウスのボタンに手をかけた…。抵抗する名前ちゃんは、テツ…と呟く。ディープキスで押さえ込むと、黒子くんは妖艶な笑みを浮かべて、名前、今夜は寝かせません、と言った。キャアアァア!!いやん、二人のエッチ!!」
『エッチなのは先輩の方でしょう!!テツは確かにロールキャベツだけど、そんなリミットブレイクするなんて有り得ません』
「してもいいならしますけど」
黒子のキラキラとした顔が名前を捕らえる。
『しないッ』
名前が完全にそっぽを向くとリコが冗談だってと言った。黒子は正直に冗談は苦手ですと言う。
「まぁまぁ二人とも、今日はディナーなんでしょ?」
笑顔で送り出してくれるリコはどこまでも優しかった。今回のことはリコの提案である。たまには二人きりになりたいだろうと言って、タツヤの面倒を見ると申し出てくれたのだから感謝だ。
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