■ かくれんぼ


 出欠確認の二列横隊をする一軍レギュラーバスケ部。
 体育館には明日の練習試合為の準備が成されていた。桃井の作業を手伝う名前は楽しそうに笑いあう。
 いわゆるガールズトークというものだろうか。恋バナと呼ばれる恋愛トークが繰り広げられていた。ただ一人を除いたキセキと呼ばれる者一同は特に気にすることはなかったが黄色い頭の男子と幻のシックスマンと呼ばれる水色の頭の男子はソワソワとしていた。

「涼太とテツヤは二倍」

 主将である赤司は笑顔で言い放つ。

「あ、赤司くん、…それはボクの心臓に悪いかと」

「黒子っちズルイ!!なら俺は脳天に悪いっス」

「二倍。テツヤはもっと体力つけないと。涼太は一回脳天ごと死んだ方が良いよ。だいたい二人して雰囲気から何惚気てるんだい?どうせ桃井と苗字のスカートの中でも妄想してたんだろう?あの中には男のロマンが詰まってるとか」

 ね?と赤司が笑う。

「赤司くん。ボクはそんな破廉恥なことは想像してません」

「俺だってしてないっス!!」

「二倍」

「だいたい黄瀬くんなんか桃井さんの足を見てニヤけてましたよね?」

「俺が見てたのは桃っちの足じゃないっス!!」

「三倍」

「へぇ…じゃあ名前ちゃんの足を見てたんだ?」

 黄瀬の後ろには般若のような桃井。

『黄瀬くん…。見損なったよ』

「むなしいっス!桃っちも落ち着いて!!」

 桃井のグーパンが炸裂する5秒前である。
 





***






『テッちゃん男前〜』

「別に下着を見ようとしてたわけじゃありませんから」

 帰り道に名前がそう言った。

『ねぇ、今日の色はね薄い緑色に水玉なんだ』

「それ他の男に言ったら許しませんよ」

 黒子の真面目な返答に名前は笑って返す。

『言わないって』

 笑っているのに何故か悲しそうで触れたら壊れそうだ。

「名前さん…、」

『なに?』

「マジバまで競争」

『えぇ!?』

 ダッシュした黒子を名前は慌てて追い掛けた。

「ボクに勝ったらシェイクを奢ります」

『よし!のったっ!!』

 黒子は黄瀬にいつかはとられるのではないかと不安で堪らない。だからか黄瀬の目からミスディレクションをしようと名前と走った。
 黄瀬からかくれんぼした。



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