■ アンドロイドに冗談は通じない
黒子の作ったカレーは絶品だった。惣菜を買おうとすると凄い形相で栄養がどうのと言われ、しまいには
「だから胸が小さいんですよ。というか無いですよね。まさに絶壁」
と言われスーパーの惣菜売り場で黒子にアッパーをした。
そして無視をしている。
「すいません…、無視しないでください」
こうして縋ってきても許す気はない。名前は黒子なんて知らないと言わんばかりに振りほどく。
「もう絶壁なんて言いませんから。別に巨乳が好きなわけじゃなくてですね」
ブチッと頭の中でキレる音がした。
『ぶざけないで…。馬鹿にしているの?テツヤは私を馬鹿にして楽しいかな?』
「いや、そういうつもりは無いんです。むしろ好きですよ」
『なに?エム?いたぶって喜ぶタイプのアンドロイドか?あぁ?』
黒子は違うと首を振る。正座する黒子は真剣な顔で言った。
「絶壁だろうがえぐれていようが名前なら好きなんです」
名前はしばらく黒子を見下ろしていたが、無性に腹がたちボカボカと殴る。
『私の胸がなくても、えぐれてなどいないっ!!!!』
「誰もそんなこと言ってないでしょう」
『遠回しに言った!!』
年頃の娘に何と言う仕打ちだろうか。
黒子は落ち着いてと名前を宥める。
「もう胸はいいですから風呂に入って来てください」
『逃げる気!?』
「覗きますよ?」
『捨てるよ?』
「…………………」
途端にシュンとするから名前は冗談だと言って風呂場に行った。
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