■ アンドロイドの昔話@

黒子はもともと人間だった。名前の目の前にいる黒子は強いていうなら"黒子テツヤ"という人間のコピー。いわゆるクローン人間というやつだ。
 クローン人間を作るのは神の領域を犯す行為として世界で禁止されている。
 そこまで軽く説明した黒子は、ここからが本題と言うように語りだした。

「ボクが高校一年の冬でした。ウィンターカップの・・・バスケの大会の帰り道にボクは仲間と別れてから異変に気づきました」





 暗闇に紛れて黒子の足音に続く足音。二人、いや、もっとかもしれない。確かに二人以上の人間が黒子を追いかけていた。
 黒子は気配を潜めるようにして走り出す。
 ここからなら家まで何とか走って帰れるかもしれない。
 息を切らせながら信号を無視して道を進む。出来るだけ街灯のある道、人のいる道を選びながら帰った。
 無我夢中で走ったせいか、後ろの足音はもう聞こえなかった。
 しかし次の瞬間、頭が鈍器か何かで軽く殴られた。死に至るほどではないが、気絶をしてしまうには十分である。
 掠れゆく視界を最後に黒子の意識は途切れた。


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