■ アンドロイドに感謝する

先生の嫌みがザクザクと心に突き刺さる。クラスメイトの前で皮肉を言うから嫌なんだ。

「この問題を解いてください。苗字さんなら分かるでしょう?」

ニタニタ笑う先生が指差したのは三年生の教科書の問題でクラスがザワザワする。朝、話し掛けてきた女の子は先生を批判するような目で見ていた。

『少し、時間をください』

「どうぞ。授業の妨げになるので早くしてくださいね?」

『分かっています』

誰しもが先生に対し敵意を向けている。
しかし逆ギレしてはいけないと分かっていたから名前は何も言わないし、クラスメイトも口出しはしない。あえていうなら同情と悪口ぐらいだ。クラスメイトは名前がわについている。

『(aの2乗からcの2乗を引いて…、高さを掛けて3分の1で…X2乗=3だから、√3)』

ぐちゃぐちゃと考え、名前は先生を見た。間違えろ!と期待の目を向けている先生にニタリと笑ってみせる。

『答えは√3です』

先生の愕然とした顔がクラスメイトの笑いを誘い、終いには先生は笑い者になってしまう。
先生が出してくる特別課題を黒子が教えてくれたおかげで三年生の問題は何となくだが解ける。
まだ習っていない三角錐の体積や平方根、ルート計算程度ならお手の物だ。
数学は得意分野になりつつある。
チャイムが鳴ったとき先生は名前を睨みつけ出て行った。

クラスは歓喜に包まれる。

「あんな問題くらい名前なら簡単に解けるもんね」

『そんなことないよ』

照れ笑いをしている名前。こうして勉強ができれば円満な生活を小学校の時も送れたのだろうか。
友達とは良いものだと初めて知った。

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