■ いつものことですから
「あの…」
『ぎゃあっ!?』
突如後ろから聞こえた声。放課後、部活が遅くなったうえに教室に体操服を忘れて戻ってきた。暗い教室には名前しか居ないはずなのに声をかけられた。
『……おばけ』
「違います。クラスメイトです」
振り向くと水色の髪の毛の男子が名前をじっと見ている。はっきり言うと誰かわからない。
『クラスメイト…?違うクラスじゃない?』
「ボクと苗字さんは確かにクラスメイトですよ」
淡々と言った彼は誰なのか。名前を知らない程度ではなく顔も知らない。
『いや、でも見たことないし…』
「………そうですか。ボク、黒子テツヤといいます。出席番号は15番で図書委員です」
『あ、ご丁寧にどうも。私は苗字名前です』
「知ってます」
悲しいのか何なのかわからないが眉間にシワが寄った黒子。
『……ごめんなさい』
「いつものことですから」
『そんなこと言わないでよ』
とてつもない罪悪感が残った。
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