■ すみません、お子様には興味ないんで
黒子先生、と呼べば彼は振り向いて何ですかと言ってくれる。
『今度の課題の提出何ですが』
「あぁ…、あれですか」
黒子は顎に手を当てて少し考えたあとに苦笑いをして答えた。
「あれは提出しなくていいです。紛らわしいことをしてすみません」
『いえ』
名前が首を振る。僅かに赤い頬が黒子の視界に入った。黒子は名前の頬に手を伸ばして触れる。
ビクリと肩を揺らす名前は恥ずかしそうに黒子を見上げた。
『あの…』
「一つだけ伝達をお願いしますね。次の授業までに羅生門を読んでおくようにクラスに伝えてください」
少しだけ冷たい指先が頬から離れ、名前はしどろもどろ声をかけた。
『せ、先生…!私ッ!!先生が「すいません、お子様には興味ないんで」
微笑みかけて踵を返し、長い廊下を歩いていく黒子をいつまでも見送った。
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