■ なに泣きそうな顔して笑ってるんですか

半年前、名前が告白をして付き合っていた彼氏がいた。もう半年前の話し。

要はフラれたのだ。会いたいと、ばかみたいに泣いていた名前は今では忘れようと必死に毎日を過ごしている。

そんな名前の幼なじみは毎日、慰めてくれる。
しかし、幼なじみは少し強引なところがある。少し強引で影が薄い、優しい彼。黒子テツヤ。

バスケが大好きで、本も好きで、制服もきっちり着こなし誠実で真っ直ぐ。
でも、どこか不器用で強引。言わば草食系男子のようで肉食系男子。つまりロールキャベツ系男子である。
これは名前の偏見かもしれないが少なくとも黒子は草食系男子ではない。







耐え切れずに、黒子の部屋へ名前の家の隣り合った窓から不法侵入した。
少し遅い時間だったため黒子は部活から帰っていた。

名前は涙腺が崩壊し、グズグズに涙を流しながら黒子に飛びついた。

『テツうぅっ…』


黒子は驚くこともなく名前を受け入れる。

「また、悲しくなったんですか?」

『ごめん…』

「別に良いですよ」

黒子の胸に顔を埋める名前の背中をトントンと軽く叩く。


「泣き止むまで一緒にいますから」

きっと彼は無表情のままそう言っているのだろう。
表情があまり豊かではない彼は動作と言葉で態度を示す。


『…うん』

小さな嗚咽を噛み殺し涙を無理矢理拭い黒子を見た。
落ち着けと心で呟き名前は笑顔を貼付ける。


黒子はそんな名前を見て機嫌が悪そうに眉間にシワを寄せた。

「なに泣きそうな顔して笑ってるんですか」

コツンとおでこ同士をくっつけた。


『もう泣き止んだもん…』

「でも泣きそうです」



名前が俯き、黒子にさらにくっつく。

『泣いてないっ…』

時折、揺れる名前の背中を撫でながら黒子は泣いてるじゃないですか、と呟いた。

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