■ 07
『ちょっとお母さん!!朝、黒子を入れたでしょ!?』
家に帰って早々、母に言い付けた。キッチンに立つ母は買ってきた物を冷蔵庫にしまっていく。
「え?彼氏だから良いと思って。ダメだった?」
『ダメ!!ダメ!絶対にダメ』
母は残念そうな顔で分かったと言った。
「カッコイイ彼氏なのに。あ、恥ずかしいんでしょ?」
違う意味でね。言えないよ。あなたの娘がそのカッコイイ彼氏?に脅されてるんですよ。
『……そうだね』
***
自室に入る前にドアの隙間から黒子が居ないか確認してから入る。私の安全のために。一応、ファーストキスだったんだよ…。
しかし、そんな私の弁当と同じくらい大好きな趣味がある。今頃、黒子は部活に勤しんでいるのだろう。
そんな邪魔の入らない時間は今だけ。実はこの家には地下がある。ベットの横にある楽器ケースを取り出し地下へ向かった。
苗字はいわゆる音楽一家。帝光中のときにバスケ部に入ることを反対された日もある。ピアノの発表会も控えていた。万が一、指を痛めたら、と言われた。
だから私はキセキとシックスマンにいじめられても逃げることは許されなかった。
地下の温度はいつも一定。よほどの事が無いかぎりピアノなどの音程は変わらない。
父は私が吹奏楽をやると思って買ってくれた管楽器も、パーカス類もあまり使わない。一番使うのはやはりピアノ。
そして後輩が吹いていたサックス。後輩に指導を受けながら練習をしている。
今日は、音源セットを使ってドラムでもしようか。
タンッとスネアを叩き、スピーカーから音源を流した。
『〜〜♪』
鏡の前でドラムを叩く自分。後ろに立つ水色の頭が印象のアイツ。と火神くん。
ん?
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