■ 06



憂鬱な朝。私をたたき起こしたのは紛れも無い腹黒いアイツ。

『しねっ!昨日の今日で何しに来たっ!?』

「彼女を迎えに来ました」

回し蹴りをするが黒子はしゃがんで避ける。

「今日は花柄のパンツですか?」


思わず後ずさりスカートを押さえた。

『本当に死ねよ』












***












『私は火神くんが好み』

「そりゃ、どーも」

火神は洗った弁当箱を差し出し、サンキューと言った。やっぱ紳士だね。

「名前さん、浮気しないでください」

『してねぇよ』

「お前ら、やっぱ付き合ってんの?」

思わず立ち上がった。驚いたような顔をしている黒子と火神に向かって言い放つ。

『付き合ってないっ!!』

朝のざわめきが一瞬にして消え、名前はしまった!と思った。

「……黒子、嫌われてるな」

ポカンとした黒子をゆさゆさと揺すぶる火神。
黒子は死んだ魚みたいな目で笑った。

「名前さんのツン…、ツツ、ツン…ツ……ツンデレ…………」


『黒子?』

私は恥ずかしいから何か言えよ。

「黒子ー?大丈夫か?」

火神が黒子の顔を覗き込んだ瞬間、

「火神くんっ、危ないですっ!!」

と言って中学から変わらないイグナイトの如く、いきなり火神に顔面パンチをした。
バタリと机の上で死んだ火神に私は今さらながら助けようと手を伸ばす。

『火神くんっ!!大じょ「これが目に入らぬか!……入りませんか?」

何故、二回繰り返した。二回目が敬語にする必要あったのか?
しかしそんなことを考えている余裕は無くなる。
黒子の差し出された手には携帯。その画面には昨日の写メ。


『イヤアアアァァァアアッ!!しまえ!!携帯壊すぞ!コラァ』

黒子はハンカチを目に当てフルフルと手が震えている。

「もう、…浮気しないでくださいね」

目が充血気味で涙を流す黒子。絶対、ハンカチを当てたとき目に入ったんだろ。

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