■ 05
バンッと音がして自分でもビクッとしたのがわかった。
「名前さん、怖いですか?ボクが、」
完全に首を90度の角度に折り曲げている黒子。
『…怖くなんか』
「そうですか。なら、平気ですね?」
壁に両手をついた黒子が少し屈んで顔を近づけた。
『こわ、…く、なんか』
涙が浮かんで、両手を前に突き出した。
『ねぇっつぅの!!バカァ!!』
ドン、と黒子の胸に手が力強く当たるがびくともしない。
「本当、可愛くないです…」
至近距離で言われ、そのままキスをしてしまった。……触れるだけの。
しばらくしてシャッター音がした。横目で見れば黒子が携帯を片手にキスをしながら自撮りしている。
『んん!?』
…畜生。二つ目のイジメをやられた。
私は黒子の腹をぶん殴って離れた。唇が離れて黒子は満足そうに笑う。
「綺麗に撮れました」
『消せっ!!消さないとコロス!!』
振りかざした拳は避けられ黒子は携帯を閉じた。
「ごちそうさまでした。これで公認のカップルですね」
『はぁ!?ざけんなよ!!』
携帯さえ取れれば、と手を伸ばすが、身長的に無茶。
「大人しく"偽"彼女になってください」
『偽ェ!?』
本物がよかったですか?と黒子が笑うがお断りだ。
「ボクは退屈で仕方ないんです。だからカレカノ設定で遊んでください」
ボクが飽きるまで写メは人質ですよ?、と黒子は言った。…三つ目のイジメだ…。
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