■ 04



「どうですか?今の気分は」

『…最悪、です』

私のひっくり返った机を見て黒子は愉快そうに笑った。

「そこはお世辞でも最高ですって言ってほしかったですね」

バスケ部のスタメンの中でも一番腹黒いコイツ。黒子テツヤ。私の中学時代を狂わせた張本人。

『…………』

許さない。










***










入学から三日目の昼休み。

『しねええぇぇ!!』

「お似合いですよ」

黒子が私のアッパーカットを避ける。心にも無いことを言うな。

数分前、私が昼休みを使って寝ている間に初音ミク並のツインテールにしやがった。

しかも仕上げには重音テトのようなドリルツインにして固めてしまった。

火神くんにはドン引きされるしもう最悪だよ。

『イヤアアアッ!!入学早々ドリルツインとかああああっ』

「いいじゃないですか。それくらい」

「黒子、スゲェな」

『……』

いや、もう諦めた。仕方ない。帰ろう。うん。
私はそのかわりに黒子に復讐をするよ。
高校ではこんなつもりはなかったが、宣戦布告をされてから一回目のイジメに心が折れそうだ。











***












早退して帰った私は自室に鞄を投げ捨てドリルツインを何とかするために、風呂に入った。


シャンプーでガシガシと洗い流すがなかなか取れない。

『くっそ』




ドリルツインがあらかた取れた所で、上がる。
未だにくるくるに巻かれた髪を見ながら溜め息がでた。短パンを履いてキャミの上からパーカーを羽織る。

自室のドアを開けた。

「ゆるふわカールも良いですね」

『良いわけないじゃん…。………………ん?』

ベットの上に座る黒子。あれ?おかしくない?この状況。何フラグ?

「濡れた髪は艶っぽいですね」

『はぁ!?なんで黒子がいるのよ!!不法侵入者!』

黒子は心外だと笑ってベットから飛び降りた。

「名前さんと一緒に帰って来たんですけどねぇ?」

『ああん?もっぺん、言ってみろや』

黒子がズイッと踏み出した。

「名前さんと一緒に帰って来たんですけどねぇ?」

かなりムカついた。

『テメェ、馬鹿にしてんのか?』

「あーぁ、中学のときのほうが大人しくて敬語で可愛いげがあったというのに…」

アンタのせいだよ!!
黒子がズンズンと近づいて来る。
ついにはドアと黒子でサンドされた。

『どけよ。こっち見んな』

「嫌です」

股間蹴るぞ。この野郎。

『見下ろすな!』

「赤司くんみたいなこと言わないでください。ズガタカと言われる筋合いは無いんで」

黒子は無表情で私のくるくるになった髪を弄った。

『ふんっ』

「相変わらず小さいですね。身長、130くらいセンチですか?」

んなわけ、あるか。142cmだバッキャロー!!

『どけよ。黒子だってチビじゃん』

「ボクは平均なのでチビでは無いですよ」

頭に手を乗せられた。縮む!!ヤメロ!!………。

『………………黒子、何センチ?』

え?気になります?と笑う黒子のすねを蹴ってやった。少し痛かったみたいだけど、気にはしてないらしい。

「本当に可愛いげないですよね?……ボクは168センチですよ」

更に近づく黒子。どこまで来るんだ、おい。ギリギリで触れそうだぞ。

『…………26』

「四捨五入して30」

つくづくムカつくな。コイツ。

『可愛いげなくて結構だっつぅの!!』

「名前さん、ボクは嫌いですか?」

『唐突に何言ってんだよ。嫌いだよ。だぁーいキライッ!!バァーカ』

黒子の目が細められた。

「へぇ…」

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