■ 26
きっと犬猿の仲なのは変わっていない。
変わったのは黒子と私の関係だけ。
付き合っているのに"犬猿の仲"なのだ。私は黒子を許す気など全くない。
『ふざけんなっ!!』
「ふざけてません」
あれから数日。
リコがキスしようとしているのを目撃してからバスケ部で付き合いを始めたことをいきなり暴露されてしまった。
『だいたいテツヤが来る必要なんてないじゃん!!』
「別に良いじゃないですか。火神くんは誘ってボクは誘わないなんて酷いです」
クラスメートに幸せ夫婦なんてからかわれる日々の中、いつの間にか噂になり校内で知られる喧嘩夫婦。でもなんだかんだ仲直りをしている。
『私は火神くんが好きだから良いの!』
「それは立派な浮気です」
今、私のピアノのコンクールに行くか行かないかで揉めている。
教室でギャンギャン騒いでいれば影が薄い黒子でも自然に注目を集める。
『良いの。浮気で!!テツヤなんか許さないし、嫌いだもん』
「ボクを許さないのは知っていますが、嫌いになるなんてショックです」
『無表情で言うな!!』
手を振り上げ黒子の十八番イグナイトパスの派生版をしてみる。
『イグナイトパンチッ!!!!!!』
「やめてください。パクリは」
斜め上を突っ走る黒子のツッコミについていけない。
***
「名前さん、ボク行きたいです」
『来なくて良いよ』
「………泣きますよ?」
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