■ 23



プラネタリウムで人工の星を眺めた後、学校に行ってみた。

「あー!黒子くん」

名前はギクッとした。それは黒子も同じらしく、声のする方へ二人して振り向く。


『あ…リコ先輩』

「カントク…」

リコが部活サボってデートだと言いながら黒子の頭をポカンと叩いた。

『……………』

「す、すみません…、カントク聞いてください!いたっ、痛いですっ」

「ホントっ!!なぁーに惚気てんのよ!!」

実際は黒子も名前も惚気などいない。

『リコ先輩落ち着いてください!!これには浅い訳が!!』

「今までのことが浅いと言うんですか!?ボクの頑張りが浅いって言うんですか!!??」

結局二人してリコのげんこつを喰らい体育館へ強制的に連れていかれた。












***












「ボク私服なんですが」

「うるさいわね!バスケ部は恋愛禁止なの!!!」

リコの一喝が飛び、日向は私服だろうが関係ないと怒鳴る。
一方の名前は黒子を誘惑と誘拐したと意味不明な罪を押し付けられ渋々ドリンクを作ったり、ボール磨きをしたりしていた。

『あー…、だる。久しぶりだなぁ、雑用とかぁ…』


まだまだ寒い時期なのに熱気が篭る体育館の窓は全開である。
しかし、くるくると仕事をこなす内に温度に慣れる。

「火神くんと黒子くんはパス練しててね。私は職員室に行ってくるから」

リコが出て行ったと同時に黒子は長袖を一枚脱いだ。

『はぁ…、雑用とかぁ』

ドリンクを渡そうと抱えた籠。
二回も同じ言葉を呟いた時、窓からフワリと北風が吹く。そして名前のスカートを弄ぶように舞い上がらせ、下着が見えてしまった。

誰もが沈黙した瞬間。
中には赤面するもの。ガン見するもの、目を逸らすもの。

名前はドリンクが入った籠を落とし、黒子は唖然とその光景を見ていた。

火神はボールを落とし目を逸らす。
木吉は何が起きているかも分からずにニコニコしている。

『見るなっ…………』

男子バスケ部(木吉以外)が凍りついた。

『しねえええええっ!!!!!!』

ボールを一つ引っつかみ、黒子にタイキックをし、火神の鳩尾に膝を減り込ませた。日向にはビンタ、伊月には回し蹴り、小金井と水戸部にはダブルラリアット、一年生三人組には順にひじ鉄。

そして木吉に飛び掛かり持っていたボールで顔面を殴った。


一瞬にして壊滅状態のバスケ部。土田が準備室からタオルを握って出てきて辺りを見回す。
そしてリコが戻って来たのは数分後のことだった。

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