■ 17



水族館を黙って二人で出た。

「名前さん」

『うるさい。私、黒子が大嫌いだから』

あからさまに傷付いた顔しないでよ。女々しい。
別に私が男勝りなのは否定しない。でも黒子らしくない発言は正直言って拒否しか出来ない。

「今更、謝るのは遅いかもしれません」

『遅すぎ。私は許す気なんてない。黒子の初恋なんて知らない!』


どうしてそんな顔してんの?私悪くないよ。悪くないよ…。

「それでも、名前さんが中学の時から好きだったんです」

『くだらない。随分と手の込んだフェイクだよね?そんなに私をからかって楽しい?』

どれだけ私が傷付いたか。黒子は知らないからそんなこと言えるんだ。

「ごめんなさい…。でも、好きなんです。ずっと、ずっと、好きで好きでたまらなかったんです!!」

私は冷めた目で黒子を見ていた。演技上手いね、と褒めれば良いの?

『私はあんたなんか!!』

ムカつく。その心を読ませないポーカーフェースとか、達者な口とか、何もかもが大嫌い。私は思わず一歩後ろを歩く黒子につかみ掛かった。

「……それでも、」

『まだ言う気!?嘘は要らないのっ!!偽のカレカノとか、偽の嬉しくもないキスも、悪ふざけも、デートも!嘘だらけのアンタなんか』



大嫌い。

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