■ 14
「デートしましょう」
『するかっ!ボケェ』
箒を振り回しながら黒子を追い払う。
「どうしてですか?」
『黒子、嫌いだから!!』
教室で喧嘩をする私たちはもはや夫婦状態。旦那が影薄すぎてヤバいと噂になっている。
火神もいないこの状況で、どうしたものか。
「……せっかくのオフが入ったんです」
『だからなんだよ!?一人で寝てろよ!!』
黒子が本気でシュンとする。何で!?どこまで設定にこだわるつもり!?
「でも…」
ヤメロ!君は一応、美青年に入るんだ。悔しいけど美青年なんだ!!中学の時から思ってたけど、ムカつくんだ!!
『〜〜〜〜〜っ!!分かったから!』
途端にパアッと明るくなり手を握ってきた。
「ありがとうございます」
ニコリと笑った顔は綺麗だった。私は鳩尾を殴って掃除の続きを始める。
『(あんな顔、…するんだ。黒子でも)』
別に偽なんだから良いじゃん、と思っていた。
黒子は鳩尾をさすりながらちり取りを手に、ぼーっと突っ立っている。
中学の時ほど過激なイジメは無い。
何故か、黒子が少し優しくなった気がする。
***
「名前さん、どこに行きたいですか?」
『好きにすれば良いじゃん』
ワクワクとしている黒子。何で?おかしくない?
「水族館とかどうでしょう?」
動物園も良いけど、まだ寒いだとか映画は飽きるだとか語ってるけど、本当どうしちゃったわけ?
「名前さん、聞いてます?」
頬杖をついて見ていたが、黒子はやっぱり楽しそうだ。
『ねぇ、黒子』
「なんですか?」
『悪いもんでも食べた?』
「え?」
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