■ 13
やはり黒子が迎えに来た。
「偽でも設定には忠実に」
と言って黒子は私に手を差し出した。畜生。携帯をチラチラと見るな。
『気に喰わないけど』
仕方ないから手を握った。
そう。私たちは"偽"のカレカノなのだ。しかも私は脅されている。
「やっぱり可愛いげないです」
最近の黒子の口癖だ。可愛くなくたって生きていける。バッキャロー。
『うるせぇ』
ギリリっと手に力を込めた。
「いたっ!!何するんですかっ!!」
グギギっと手に力を込められる。
『いったぃ!!』
爪をたてて仕返しをした。
「っ!?いったいっ!!ですっ」
ブンッと互いに腕を振り回し手を解いた。黒子の手にはくっきり爪の跡がついている。ざまぁ。
『日頃の行いが悪いからだろ!』
手をさすりながら黒子はそっぽを向いた。
「五十歩百歩だと思いますけどね」
***
黒子のせいかは分からないが入学してからは全く友達が出来ない。黒子が突っ掛かってくるから暇など無いのだけど、どうやら私は不良と思われているようだった。
確かに短すぎるスカートにダボダボのカーディガン、ニーハイ、爪はカラフルに彩られ、ナチュラルだがメイクをしている。
『(私って、そんな不良に見えるのかな)』
先生が数学のテストを返している。火神は点数が一桁で、黒子は平均ピッタリの75点。
他の奴は私が不良だからと勝手なレッテルを貼って頭悪いって決め付けてるし。
『(ムカつく…。馬鹿にしやがって)』
私もテストを受け取りに行く。
半分に折り畳まれた用紙を広げれば三桁の数字。
よっしゃ!っと心で叫んだ。
「うぉ!苗字、百点!?」
火神が驚いた顔で私のテストを見る。
「やっぱり可愛いげなくても、脳みそは昔から変わりませんね」
『なんか、腑に落ちないけど百点に免じて許してあげるよ』
黒子にデコピンをして席についた。
でもこれだけじゃ、真っ赤な髪のアイツには勝てない。未だに敵視しているなんて馬鹿みたいだけど、
『(やっぱ、落ち着かないんだよねぇ)』
まぁ、黒子に勝てたら今は満足だっつぅの。
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