■ 11
『ハッ…!これさえあれば!!』
放課後、黒子の携帯を教室で発見した。
なんと幸運なんだろうか。黒子の席に座って教室を見渡す。…よし、誰もいない。
携帯を開いた。
待受けは買った時から変えていないのか青空が広がる写真だった。
『(待受けダッサ)』
仕方ないなぁ、と呟いて自分の携帯から可愛らしい画像を一つ選んで赤外線通信をした。
黒子の携帯の待受けが可愛らしいバスケの待受けに変わる。
『おー、乙女ったけど良いか』
更にメニュー画面を開き着せ替えをしてみた。
どうだ!恥ずかしいだろ!!
『フッフッフッ、あとは問題の写メ…』
カメラフォルダを開いたところで黒子の携帯が手元から消えた。
「何してるんですか」
顔を上げれば黒子。
『…あ』
「浮気チェックですか?」
***
「キャー、名前ちゃん!!仮入部してくれるの!?」
『見学するだけです』
ぶすっと言えばリコ先輩は、何だと肩を落とす。
結局、黒子に連れて来られたのは体育館。
「あ、ボール欲しい?」
『何でですか』
唐突に何を言い出すのか。と思いつつ、ボールを受け取る。
「バスケ、好きになってもらおうと思って」
『やりませんよ』
「やりましょう」
黒子がジャージを脱ぎ捨てた。火神が前に似たような風景を見たような気がしてならないと言う。
『黒子!?』
「ワンオンワン」
あ、思い出した、と火神が言った。これは初めて黒子と1on1したときのシチュエーションそっくりだ。
名前は額に青筋をたてる。
『やってやろうじゃないの』
「…………」
リコが二人から離れた。火神がマジか、と呟く。
ホイッスルの音がした。
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