「な…」
俺は目に映る光景を疑った。
煙草がポロリと落ちるのがわかった。
総悟と対等に、いや、総悟が押されている。
昨日散々俺を小馬鹿にしたときのような笑顔はない。
「近藤さん、これは…」
「名前ちゃんの剣の腕は一流レベル。でなきゃ真選組、ましてや女の子が入隊なんて認められんからな。総悟もなめてかかっちゃ名前ちゃんには勝てないだろう」
「………」
目が離せない。
あの新人、一体何者なんだ。
「沖田隊長、始め私のこと女だと思って本気出しませんでしたよね」
「!」
「私、そういうの嫌いなんですよね、男尊女卑っていうか、正面から本気でぶつかり合わないっていうか」
「……」
「性別なんか関係ない。結局最後にものをいうのは、その人が本当に持っている力量でしかないんですよ。まあ、簡単に言いますと…
女だからって、なめんな」
にこりと笑って言ってのけた名前に、稽古場がしんとした。
20120302
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