結局あのあと、こんなのは傷のうちにも入りやせんと名前に言って、それでもいつまでもしょぼくれる名前に、団子でも食って元気出しなせィ、とアイツの好きな団子屋の団子を買って差し出すと、食べ物で機嫌とらないでくださいとか言いながら受け取って食べ始めた名前。

女ってよくわからない。



そのあとはすっかりいつもの調子に戻った名前に、俺は結局食べ物で機嫌とれてるじゃありやせんか、という言葉をのみこんだ。
ここでまたふてくされられちゃたまらない。



屯所に戻ると執拗に医務室に行くよう言ってくる名前に、本当に大したことないから平気だと伝え納得させるまでに20分かかった。
本当に浅い傷だし、風呂に入っても染みない程度の傷で騒いでたらこの仕事はやってられない。


ほっときゃ治るだろうと特に何もせずにその日は布団に潜った。

そう、何もせずに、だ。
消毒だけでもしておけば良かったんだ。
これほどこのことを後悔することになるとは。














「え……。何でィ、こりゃ……」


次の日の朝、屯所中に俺の叫び声が響いた。




20120923



 
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