「真選組だァァ!」
今日は一番隊になっての初仕事。
前々から攘夷浪士の溜まり場となっていた場所へ、一番隊が乗り込むことになった。
次々と斬りかかってくる浪士達を、急所を外し且つ確実に動けなくなるようなところを狙って返り討ちにする。
隊長には甘いと言われたけど、正義のためとはいえ人を殺すのは性に合わない。
「終わった〜、」
「ざっと50人くらいですかねィ。これだけいりゃあかなりの貢献になりやすぜ」
「沖田隊長はほとんど何もしてないじゃないですか!ほとんど私が倒しました!」
「上司を楽させるのが部下の仕事でさァ」
「違ェだろ」
全くこの人はいつまでたってもこんな感じだ。
もし副長の実力を越えるほど力を持っていたとしても、この人が副長になる日が来ることはないだろう。ていうか私が嫌だ。
「大体他の皆さんもですよ!何で見物してるんですか!まじめに仕事してくださいよ!!」
「いやぁ、ごめんね。名前ちゃんがあまりに強かったもんで」
「やっぱりスゲーよ名字!!」
口々に言う隊士たちに呆れた。
上司が上司なら部下も部下ってか。
あなたたち一番隊に入れるほど能力あるならこれくらい朝飯前でしょうに。
とはいえ褒められると照れるけどね。
「とりあえずもう戻りましょう。報告書も書かなきゃですし」
「おいてめーら、こいつらが動けねェうちに確保しなせィ」
「だから隊長も仕事してください」
「やなこった」
子供か、とつっこみたくなったの抑えつつ、二人並んで歩き出す。
「あ、おいお前!」
「?、」
後ろから聞こえたのは隊士の声。
ただ事ではなさそうなその声に振り向いた瞬間、
「うおおお!」
「!?、なっ」
私に向かって斬りかかる、攘夷志士の姿があった。
20120515
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