「俺は真選組副長の沖田総悟でさァ」
「副長の沖田さん、ですか」
「で、あそこで副流煙撒き散らしてるふてぶてしい野郎は、俺の下僕のベトベトンでィ」
「副流煙、ふてぶてしい、副長の下僕、ベトベトンさん、ですね」
「覚えが良くて助かるねィ」
「オイイィィィィイ!一個も合ってねぇ!!」
近藤さんに連れられてきた新人の名前にさっそく自己紹介を始めた隊士逹。
他の隊士と同じように自己紹介に向かった総悟は、当たり前のようにホラ吹きやがった。
「テメェは調子乗りすぎなんだよ!」
「痛ぇなベトベトン!」
「…ベトベトンさん、こんな奴の下僕なんて心中お察ししますが、暴力は良くないと思いますよ」
「だから違うよォォ!?」
かわいそうに、私だったら堪えられませんね、本当によく頑張ってらっしゃいますね、と目だけで語ってきやがった。
何この新人腹立つ。
「よく聞け名前!こいつは副長じゃなくて1番隊隊長!副長は俺!名前もベトベトンじゃなくて土方十四郎だ!」
「あはは、知ってますけど」
顔は笑ってやがるのになんか殺意がわいた。
額にピキリと血管が浮くのがわかる。
「てんめぇ、大人なめんのも大概にしろよ!」
「ひょ、ひはいへふ」
「名前、なかなか良いキャラしてんじゃねぇかィ」
「そへはほうほ」
ひとしきり引っ張った頬を離してやる。
「痛いなぁ副長。これで顔でかくなったら副長のせいですからね」
「これだから単細胞は困りまさァ。とうとう女にも暴力ですかィ?」
「うるせぇなてめーら!次やったら腹切る覚悟あんだろうな!……って聞けェェ!!」
すでに俺を置いて歩き出す二人に頭痛がした。
またとんでもない新人が来た。
まあ、あんだけ強烈なキャラなら、この男所帯の中でも何とかやってけそうだな。
20120302
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