「うらぁ!」
「い゙っ、」
見回りに行って来やす。
そう言って出かけた俺は、見回りなんざするわけもなくベンチで昼寝。
そんな俺の極楽タイムを、鳩尾に踵落としなんて見事な技でぶち壊したのは名前。
アイマスクを取らなくてもわかる。
「本当にテメーはどこまでも凶暴なやつでさァ」
「仕事しろや、かいわれ大根」
「はっ、テメーの足は大根だけどねィ」
「もう一発かますぞ」
調子乗んな、そう何べんも当たるか、なんて思ったが面倒だからとりあえず起き上がり、アイマスクを上げる。
「大体名前も仕事してねぇも同然でさァ」
「してます!現在進行形で。公共物を占拠する悪人を取り締まってます」
「公務執行妨害だろィ」
「いやまず公務執行しろよ」
その時俺は、ギャーギャーとまだ何か言ってる名前の手に、大きな袋が握られていることに気づいた。
「…何でィこりゃ」
「?、これですか?団子です」
「さすがゴリラの食べる量は想像を絶するものがあるねィ。俺には到底真似できやせん」
「だから1人で食べるわけないじゃないですか、どいつもこいつも」
「結局テメーも仕事せずに団子買ってんじゃねぇか」
「今お昼休みなんです!これは皆さんへのお土産ですよ。もちろん、沖田隊長の分だって、あります」
「…」
「だから、一緒に屯所に戻りましょう」
そう言ってきた名前に柄にもなく一瞬戸惑った。
あぁ、アイマスクつけたまんま寝転がってりゃよかった。
「何でィ名前、1人で帰れないってか。迷子ですかィ?しょうがねぇやつでさァ」
そう言って前を歩き始める俺はたいそう滑稽だったろうな。
20120304
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