「山崎さーん、これ、新しく出たあんぱんですよ」
「え、ありがとう」
あれから数日。
あれというのはもちろん、沖田隊長と名前ちゃんの手合わせのことだ。
隊士たちはあまりの名前ちゃんの強さに驚き、安易に近づく人も少なかった。
俺はまあ、たまたま食堂で相席したりするときが多くて、気づいたら普通に仲良く話すくらいの仲にはなっていた。
あんぱんを受け取り、クシャクシャと名前ちゃんの頭を撫でると、名前ちゃんはにこにこと笑って、張り込み頑張ってください、と言った。
普通に接してればこんなに素直でかわいいのに、皆バカだなあ、なんて思いながら、逆に皆にそういう風にされてもつまらない、なんて矛盾してる俺。
「何でィ名前、山崎なんかに媚び売りやがって。猫かぶってるつもりですかィ?どぶ猫にしか見えねぇや」
「はっ!何がどぶ猫。ドラえもんレベルはあるっつーの」
「猫かぶってるってとこは否定しろよ」
突然現れた沖田隊長と言い争いを始める名前ちゃん。
ああもう、この二人はいつもこうだ。
もっと仲良くできないのかな。
あ、沖田隊長がバズーカ出した。
って名前ちゃんの隣にいる俺やばくね?
「山崎さん、ごめんなさい、」
「え、」
名前ちゃんに盾にされる俺。
ドゴオオオン
「ぎゃああああ!」
巻き込まれる俺の身にもなってほしい。
20120302
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