「うわ…」
やってきました2012年!
と言うわけで私はエースと一緒に初詣にきたわけなんだけど。
いや、嬉しいんだよとても。
大好きな彼氏と一緒に年を越せてさ、新年早々初詣という名のデートなんかしちゃってさ、私は幸せだよ。
これだけ幸せならこの異常な寒さも異常な人混みも耐えられる。
じゃあ最初のつぶやきは何だって話だよね。
「え、何だったんだよ」
私の言葉を聞いてにやにやと笑いながらこちらを見るエース。
何その表情むかつく。
あとこの身長差のせいで見下ろされてる感じがさらにむかつく。
「エースはどうだったの?見せてほしかったら自分の見せてからだよ!ギブアンドテイクは世界の常識なんだから!」
そう言うとエースは手に持った紙を伸ばして私に見せつける。
「…良かったね」
「お、やっぱ今年も大吉だったのか」
嬉々として一枚の紙を見るエース。
そう、私たちはおみくじを引いたわけで。
ていうか今の言い方だとおみくじ今初めて開いたよね。
なのに私に見せる前のあの自信は何なんだ。
しかも期待通り大吉出るって何なんだ腹立つなもう。
にこにことして『大吉』のくじを見せるエースを見て、私は自分の手にあるくじを思わず隠す。
「じゃあ見せて」
「やだ」
「ギブアンドテイクは世界の常識なんだろ?」
「でもやだ」
「見せろって」
私とエースの攻防戦が始まる。
嫌がってる時点で良くない結果なの察してよばかやろー!
「もらい!」
「うわあ見るなー!」
奪ったおみくじ持った腕を伸ばして、私が届かないようにするエース。
ああもう、笑うなら笑え!
「うっわおま、大きょ「言うんじゃない!」
笑うなら笑えとは言ったけど!
わざわざ声に出さないでほしい。しかも大声で。
「だっておま、これ、やばいだろ」
そう言って一番運が悪いことを示す二文字が刻まれたおみくじを見て笑うエース。
いや、笑うなんてかわいいもんじゃない。爆笑だ。
周りの視線が痛いんだよ、気づけばか!
「笑いすぎなんだけど」
「わりぃわりぃ。だってよぉ、俺初めて見たから」
そう言ってまた笑いだすエースに呆れる。
私もだよ。そんな何度も見たことあったらたまらない。
「あーもう知りません。いつまでも笑ってれば、ばーかばーか」
「悪かったって!」
置いてきぼりにしようとすると、小走りで私の隣に追いつくエース。
「まあ問題ないだろ」
「どの辺が?」
大吉を出すよりよっぽど難しいっていうのに、わざわざ私の手元にやってきたんだよ。
それだけの理由があるんじゃないかな。
わー怖い、恐ろしい一年だ。
「だって俺、大吉だからな」
「はい自慢はもういいです」
自分は良かったから問題ないってか。なんてやつだ。
「ちげぇよ!だからさ、俺と一緒にいれば問題ないだろ?」
俺、大吉だから、と言って笑うエースに心が温かくなる。
ああもうずるいなあ。
その笑顔を見るだけでおみくじの結果なんて吹っ飛んでしまう。
今年も一緒にいようね
(俺のおみくじやるよ!)
(え、いいの?)
(俺、大吉しか出したことないから)
(すご!)
20120101〜20120131
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