「ねぇねぇロー!」
「なんだ?」
「じゃんけんしよう!」
「…は?」


なんか突然じゃんけんがしたい気分になったからその辺にいたローに声をかけてみた。
見事に不審な目で見られたけど。

まあ突然じゃんけんなんて言われてもそりゃそうなるか。



「じゃんけんやろうよ」
「何でだよ。めんどくせぇ」
「いいじゃんお願い!」
「…勝ったら何かあんのか?」
「ないね。強いていうなら勝利に対する喜びと優越感がもらえるよ」
「いらねぇよそんなもん」



なんだノリ悪いなー、なんて思っていると、ローが提案をしてきた。



「じゃあ負けた方が買った方に肉まんおごりな。それならやってやってもいい」
「うわっ!偉そうだなー。まあやるけど」
「やんのかよ」



勝ったら肉まんかぁ。
よし、モチベーション上がってきた!!



「「じゃんけんぽん」」


……負けた。



「いいい今の練習!もう一回!!」



「練習も何もあるか」なんて言われたけど、どうやらもう一回やってくれるらしい。


「「じゃんけんぽん」」



…………また負けた。



「…5回先取で勝ちにしよう!」
「お前自己中だな」

自己中は言いすぎだよ!

でもなんだかんだ言いながら5回先取にしてくれるローにありがたさを感じながら、もう一回意気込む。

これ以上負けてはいられない!


「「じゃんけんぽん」」

…負け。


「「じゃんけんぽん」」

負け。


負け。負け。



「決まりだな」
「っ!ちょっ!何で!?ローなんかずるしてない!?」
「してねぇよ。ていうかじゃんけんでずるとか無理だろ」


くっ!返す言葉もない。
でもストレート負けってヤバくない?おかしくない?
練習も含めると6連敗なんだけど。


「よし、じゃあ買ってこい」
「うぅ…」



しぶしぶ肉まんを買いに行く私。
なんかあまり納得いかないけどとりあえず約束は約束だ。

今月ピンチなんだよね。
私も食べたいけどがまんするか。
ローの分だけ買って戻ろう。

あーじゃんけんやりたいとか言い始めた数分前の自分を殴ってやりたい。






「はい」
「サンキューな、ストレート負けさん」
「ちょっと黙ろうか」


言うんじゃない!
このデリカシー無し男め!


ローは肉まんを取り出すと半分に割って私に差し出す。

「ほらよ」
「…良いの?」
「食いてえんだろ?」
「明日槍が降ったりしない?」
「お前失礼だな」


冗談だよ、なんて言いながらありがたく肉まんを受けとる私。

二人でベンチに並んで座り、肉まんを食べる。


「でも普段のローならこっちにドヤ顔しながら見せつけるように食べるとかしそうなのにね」
「そうだな」


あ、否定はしないのか。


「じゃあ何で?じゃんけんふっかけたわりに一度も勝てなかった私がかわいそうになっちゃった?」
「…お前さ、何でじゃんけんで一度も俺に勝てなかったかわかるか?」
「やっぱりずるしてたの!?」


じゃあずるしたことによる罪悪感から私に肉まんを?
うわーうわー。


「そうじゃねぇ」
「?」
「お前のことずっと見てればな、考えてることくらいわかるんだよ」
「!!」



じゃんけん



(でもそれでじゃんけん何出すかまでわかるなんてすごっ!私どんだけわかりやすいんだよ)
((俺告白まがいなこと言ったんだけどスルー…?))
(私はローが何考えてるかさっぱりわかんないしわかりたくもないなー)
(やっぱり肉まん返せ)



20111006〜20111231
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