「じゃんけんしようぜ!」
「…突然どうしたの」


私を見かけたとたんに笑顔で走り寄ってきた第一声がこれ。
なんだなんだ、突然すぎるな。


「いいんだよ!とにかくやろうぜ、じゃんけん」
「あーうんいいよ」
「さんまにしよう、さんま!」
「あーうんいいよ」


適当な受け答えしかしてないのに目をきらきらさせてるエースはあれだね、ばか。
あ、もちろんいい意味でね。



「いくぞー」
「「さーんーま!!」」



私はグー。
エースはチョキ。


「やったー!」
「三回勝ったら勝ち、だからな!」
「わかってるって!」


だがしかしエース君よ、世の中先手必勝さ!


「「さーんーま!!」」


私はチョキ。
エースはパー。


「あれ?これはまさかの?」
「ふっ…。なかなか強いじゃねぇか」


二連勝の私!
ここはストレート勝ちを狙いたいところだな!

でも明らかに劣勢なはずのエースは、少しも焦る様子がなくて首を傾げる。


「どうしてそんな余裕なの?」
「俺にはな、とっておきがあるんだよ」


とっておき!?
いやいやいやいや!
じゃんけんに必勝法なんてないはず!!…だよね?



「とっておきって?」
「それはやってみてのお楽しみだ」
「じゃあやろう!」


何をする気か知らないけど、勝てば何の問題もないんだよね。


「「さーんーま!」」



私はグー。
エースは……


「何これ」
「なんだ知らないのか?これはな、"グーチョキパー"だ」


親指と人差し指と中指を伸ばし、薬指と小指は握る例のアレ。

エースは私がグーチョキパーの存在を知らないと思っているらしく、得意満面にその効力について語っている。


「つまり、お前は勝てないってわけだ」
「確かに私は勝てないけど、だからってエースの勝ちではないね」
「?」


そう、この"グーチョキパー"には決定的な落とし穴がある。


「だってグーもチョキもパーもあるんでしょ?それってあいこじゃん」
「!!」
「…エース?」
「…」
「おーい」
「…」


完全に固まった。
これどうしよ。


「俺、これでどんな奴にも勝てると思った…」
「そっか。どんまいだね笑」
「笑うなー!」


じゃんけん挑んできたのはそのためだったのかと思うと笑える。
なんかかわいいなエース。





――そしてエースは結局さんまでストレート負けしたりする。


じゃんけん



(自分で挑んで負けたね)
(お前に勝たせてやったんだって!)
(エースかわいい)
(うっせぇ!)


20111006〜20111231
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