「お、おはよう!名前!」
「あ、おはよう、ツナ」


登校中、ツナに会った。
なんだか少し落ち着かない様子なのは気のせいかな。


「朝に会うの珍しいね」
「うん。………あのさ!」
「?」
「今度のクリ「よっ!ツナに名前!」…山本」
「おはよう、武」


後ろから現れたのは武で、挨拶を交わす。

心なしか笑顔が黒いような…でも白いような……。
うん、灰色ってことにしておこう。


「そういえばツナ、何か言いかけてなかった?」
「いい、いや?別に何も…」
「…?そう?」


少し気恥ずかしそうに顔を俯かせるツナ。

なんだそれ、ちょっと気になるじゃん。


「ま、気にすんなって名前。ツナが何でもないって言ってんだからさ」
「…うん」
「はは…(山本ひでー)」


あ、武の笑顔が純白に戻った。



















キーンコーンカーンコーン

「ふぇ〜。やっと終わった」


チャイムと共に地獄みたいな数学の時間が終わった。

証明とか意味不明すぎる。
大体学ぶ意味あんのかな。
『今すぐこの2つの三角形の合同を証明しろ。さもないとこいつの命は無い』なんて状況に出くわせば別だけど。


そしてあんなに眠かったのに授業終わった瞬間目がぱっちりなんだけど。
これ何て魔法?


「名前!」
「武!」


こちらに来た武が私の隣の席に座る。


「はは、私また数学寝ちゃったよ」
「俺も!意味わかんねーよな!」
「ねー」
「……それよりさ!名前、クリ「よぉ野球馬鹿!」…獄寺」


隼人が武に挨拶してるの初めて見た…!レアだ。
でもあんまり善意が感じられないな笑。


「おはよう、隼人。今日も元気に遅刻だね」
「うっせぇな」
「獄寺、ツナのとこ行かなくて良いのか?」
「てめぇなんかよりも先にとっくに挨拶してるんだよ。それよりお前こそどきやがれ!そこは俺の席だろうが!」
「ちぇー」


ちょうど良くチャイムが鳴り、しぶしぶ、といった感じで席に戻る武。

…そういえば武、何か言いかけてなかったっけ?
まあ、いっか。


















「じゃあ始めてください」


先生の言葉に騒がしくなる教室。


今は英語の授業で、隣の人と英語で会話をすることになった。


「やろうよ、隼人」
「あぁ」
「……」
「……」


うう、隼人が何も言わない。
これは私からいかなきゃだめってことか。
でも何を言えばいいんだ…。


「は、ハロー隼人」
「…は?おま、それ、ちょ、全部日本語じゃねぇか!」
「だって隼人が何も言わないから!」
「わかったよ」


少し考えるようなそぶりをし、こちらに向き直る隼人。


「Do you have any schedules at Christmas?(クリスマスに予定はありますか?)」


ええと、『あなたはクリスマスにスケジュールを持っていますか?』…かな?
まあ多分クリスマスの予定を聞いてるんだろう。

なんだこれ、ぼっちな私に対する嫌がらせか。
ていうか発音すご!


「……ノー」
「Don't you spend time together with me at Christmas?(クリスマスを一緒に過ごしませんか?)」


……わかんない。
何を言ってるんだ。
私リスニングのとこいつも適当だもんな。

でもなんか疑問文っぽかった。
うん、隼人も何か返事を待ってる感じだし。
でも何をきかれてるのかわからない。

こうなったらあれしかない。


「パ…」
「?」
「…パードゥン?」


そう言った瞬間ずるずると机にうなだれる隼人。

馬鹿ですいませんね!


「…だから、俺はお前にクリ『2ーA名字名前、今すぐ応接室に来なよ。じゃないと咬み殺す』…ちっ」


突然放送が入り、先生も青ざめた顔で私に早く応接室に行くよう促した。


「ごめん隼人!後で教えてね!」
「おい!」


隼人が後ろで何か言ってるのが聞こえたがそれどころじゃない。
咬み殺されるのは嫌だ。






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