朝、学校に着いて荷物を置くと、私はバルコニーのようなところに出た。

風が気持ち良い日はよくここへ来て風に当たったりしているのだけど、どうやら今日は先客がいるらしい。


「おはよう、獄寺君」
「!…お前は、たしか」
「名字名前。名前でいいから」


ニコリと笑って言うと、顔をそらされた。

あ、他人の目に毒なんだった。


すると下を通る生徒を見ながら、獄寺くんが小さな声で言う。


「俺も、隼人でいい」
「うん、隼人君」
「……チッ」


舌打ち!!?
な、何かまずかったかな?

とりあえず『隼人君』は気にくわなかったらしい。


「隼人さん」
「……」
「は、隼人様…」
「………」
「隼人殿…?」
「だあっ!普通に呼び捨てでいいだろうが!!」


耐えきれなくなったのか、声をあげる獄で…隼人。


「ああ!ごめんね、君付けが気に入らなかったのかなって」
「普通そう思ったら呼び捨てになるんじゃねぇのかよ」
「いやあ、お前ごときが君付けなんて馴れ馴れしいんだよ、みたいな感じなのかと」



そう言うと、隼人は一瞬ぽかんとして(眉間の皺が無くなった!)、そして笑い始めた。


そんな隼人を見て、私もつられて笑い出す。


「お前、変なやつだな。隼人殿はおかしいだろ」
「はは、変だとは思ったんだけど他に思い付かなくって」


その後は、突然現れたリボーンに驚いたりしながらも、他愛もないことを話した。

何だかんだいって、隼人とちゃんと話すのは初めてだったけど、想像以上に話が弾んだ。




「!…あれは綱吉と武かな?」
「!」


前方を歩く綱吉と武の後ろ姿が見える。

二人は仲良さげに話していて、笑い声はここでも聞こえる。


ふふふ、武は朝から綱吉にアタックとは…熱いねぇ。

先日の自殺騒動で二人の距離が近づいたのは確実。
つまり、武にとって今はこれ以上にない大チャンス、ってとこだね。



「あ、こづきやがった!」


隣から漏れる声。

隼人は二人の様子を見て、無意識にか意識的にかはわからないけど、持っていた煙草のパッケージを握りつぶす。


そうだ。そうだよ。
隼人は綱吉が好きなんだ。

自殺騒動はイタリアに行っている間に起こったことだから、隼人は知らないはず、だけど。
もし、知ってしまったら……


「リボーンさん、本当にあいつをファミリーに入れるつもりですか?」
「つもりじゃなくもうはいってるぞ。オレが決めた」
「な!」



武もファミリーだと…!?
するとリボーンはすでに武をマーク済みってことか。
さすがに抜かりないな。

ていうかボンゴレファミリー何角関係になるんだろう?


20120211


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