『〜っっ!!』

放課後の音楽室に不協和音が響き渡る。







現在私は秋に行われる合唱祭の伴奏の練 習中だ。

少し体調が悪くて学校を休み、翌日清々 しく復活した瞬間山本くんに「伴奏頑張 れよ!」と私を上回る爽やかな笑顔で言 われた。

ごめん山本くん、伴奏ってなんのコト?


「だって名前、ピアノ習ってたんでしょ ?適任だよ!」


青ざめて質問した私にサラリと言っての ける合唱委員が憎いぜ(いやでも無邪気 な可愛い笑顔のせいで憎めない)

というやりとりがあって冒頭に至る訳で す。



『ピアノ習ってたって言ったってよぉ… 去年辞めちゃったんだよぉ』


楽譜に頭を突っ伏して愚痴を言うが、誰 もいない音楽室、返事はなある訳…


「おい、」



ひぃぃっ!!ごめんなさいごめんなさい私 はまだ死にたくないです連れてかないで 許してくださいベートーヴェン様まぁぁ ぁあぁぁああああ!!


「うるせーな」
『あ、獄寺くん』



音楽室の扉に寄りかかって呆れたように こちらを伺うのは、学年1位の優等生で あり不良、沢田くん大好きな獄寺くん。



「つか、そこにある絵、バッハだから」
『あれ?そうだっけ??』


すごいや獄寺くん、物知りだなぁ。


『で、どうしたの獄寺くん?忘れ物??』



一番前の机に座った彼に私も椅子から立 ち上がって近付くと、何故か獄寺くんは パッと顔を赤くした。


『え、どしたの?…もしかして………』
「な、なんだよ!別にお前の練習見に来 たとかそんなんじゃねーからな!?」


あ、そうなんだ。


『えへへー、ありがとう』
「はぁ?何がだよ」
『獄寺くんピアノ弾けるの?』
「お前よりはな」



フンと馬鹿にした様に笑ってくる。

あれ?何だろう、ドキッとした。あれ? 私もしかしてMだったの??



『って、じゃあ何で伴奏してくれないの !?』
「面倒くせぇからに決まってんだろ?」



うわ、俺様。



「オラ、さっきつっかかってたとこ弾き 直せよ」
『え?』
「さっき、お前が癇癪起こす前に弾いて たとこだよ」
『…獄寺くん、教えてくれるの?』
「ちげぇよ!! 雲雀にー…あの、ずっと音楽室にいて帰 らない奴がいるって言われて、帰してこ いってパシられたから仕方なくだ!」



彼は図星なこと言われると声を荒げるら しい。



『でも弾けって…』
「だからぁ…弾けないまま帰ったら、な んか嫌だろうが」



おぉ、ストイック。



『じゃあ…教えてください!』



獄寺くんに笑いかけたら顔を背けられま した。
うわ、なんかショック。


 
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