「うん、すごく似合ってる」
「いやいやいやいや!本当にありえないってば」


結局ナミに負けて浴衣を着てる私。
髪もアップにされて、きわめつけにはかんざしまでつけられた。


うん、絶対に似合ってない自信がある。
こんな女の子らしい格好は普段しないし、隣に並ぶのは『似合わない服なんてありません!スタイルよし、顔よし、性格よし』なナミであるわけで…。

さらに言わせてもらえば、今から行くお祭りはナミの地元なわけだから、ルフィ達の地元でもあるんだよ?
ルフィの性格からしてお祭りには絶対来るじゃん。うわー見られるー。


「ナミ、お祭りか浴衣、どっちかやめ」
「るわけないじゃない。行くわよ」
「いやほんっと無理だよ!引っ張らないで」


笑顔で言いきったナミに引っ張られる私。

こうなったナミには勝てないと私の経験が語っている。


あー、知り合いには会いませんように。




















「んナミっすわぁーん!名前ちゅわぁーん!」


お約束だった。誰にも知り合いに会わないという私の願望は、お祭り会場に入ってコンマ一秒の早さで打ち砕かれた。


そうだよね、ナミが視界に入ったら200m離れててもわかるサンジだもんね。


「ああ、今日もなんて美しいんだー!!」
「ありがと、サンジくん」
「なんだ、ナミと名前も来てたんだな」
「おい、食いながら話すんじゃねぇ」


サンジに続いて大量の食べ物を頬張っているルフィとゾロもこちらへ来る。

奥にはわたあめを買っているチョッパーとウソップも見える。


「皆久しぶりだね。ルフィとゾロは補習で会ったけど」
「そうだな」
「なんだ名前、このウソップ様に会えなくて寂しかったか?」
「いや、全然」
「全否定かよ」


そうやって笑っていると、下から浴衣のすそをちょんちょんと引っ張るチョッパー。


「名前、浴衣かわいいな」
「チョッパー…あなたは本当にいい子だね」


浴衣のことを褒めてくれたチョッパーを撫でてあげると、そんなことされても嬉しくねぇぞ、と嬉しそうな顔で言われた。
かわいいなおい。


「確かに似合ってるな、名前」
「馬子にも衣装だな」
「なんかいつもと違うと思ったら浴衣着てんのか〜」


スタンダードに褒めてくれたウソップ。
なんだかんだいいやつだよね。

馬子って…。覚えとけよ、ゾロ。

ルフィに至ってはもう、ね。
どんだけ鈍いんだ。



「皆も浴衣似合ってるね」



私よりもよっぽど様になっている。
うらやましいな。

浴衣が似合うというよりお祭りが似合うっていうのかな?
祭りと言えば俺たちだろ、と言わんばかりにお祭りを楽しんでいる。


そんな皆を見てると私も楽しいな、なんて。





(名前、8時から花火だからそれまで遊ぶわよ!)
(うん!!)



20120331




 
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