次の日、私はちょっと怖い気持ちを隠しながらも、学校に登校している。

ただ、周りの人からの目線があまり気にならなくなった。


ていうか1日でこんなに変わるなんてすごいな。
ナミ、一体どんな方法で脅したんだろう…。


「おはよう!名前」
「!、おはようナミ」


噂をすれば、というやつ。
下駄箱でナミに会った。


「昨日は電話ありがとう」
「いいえ、平気よ」
「なんか周りの視線とか全然気にならなくなったんだけど。一体どんな脅しを…?」
「そんなの、掲示板に書き込んだやつとそれに便乗したやつらをちょっとたたいて、噂たててるやつを見かけたら、あくまで笑顔で穏便に注意しただけよ」
「へぇ…そうなんだ」



穏便なんて絶対嘘だ。
想像しただけで恐ろしい。


「まあ、名前が気にするようなことはないから。安心して」
「うん、本当にありがとう」


















なんだか昨日あったことが嘘みたいに、一日が何事もなく過ぎていった。


教室に入ったとき、昨日の二人にも謝られた。
(ナミの方をチラチラ見ながら怯えるように謝っていた。かわいそうに)


今は二時間目が終わった十分休み。
私は廊下側一番後ろというなかなかのナイスポジな自分の席にぐでっと突っ伏していた。


ああ、先輩にもお礼言わなきゃなあ。
今日の昼休みは購買の方に行って探してみよう。


今思えばなかなかすごいことをしたよね私。
あんな醜態をさらした後に先輩に会うのは少し気が引けるけど、まあそこはがんばっていくしかない。


昨日のことを思い出すだけで、胸の辺りがキュッと苦しくなる。


ああ、私は本当に先輩のことが好きになっちゃったんだ。
これは多分実らない恋だから、あんまり大っぴらにはできないけど、でも簡単には消えそうにないから、とりあえず片思いを続けることにした。


「名前!」


笑顔で私のことを呼ぶ先輩がフラッシュバック。
うわ、これ私病気かも。
ていうか今さらだけど先輩は私のこと名前呼びだよね。
最初は全く気にしてなかったけどもうそれだけで幸せだよ。


「名前ー!」


ちょ、ストップ!
止まって私の妄想!!
誰かに私の脳内を見られてたとしたら私死ぬんだけど。

顔は赤いに違いない。


「おーい名前、…名前だよな?無視すんなよー」


うわあもう本格的にダメだな、私の脳みそ。
ていうか無視すんなよーって何…?
………まさか!

バッと顔をあげると今ちょうど考えてた人がいた。


「せせせせ先輩!?」
「あ、やっと起きた」


ぎゃーっ!
まさか本当にいるとは!!
しかもせせせせ先輩って何だ自分!超恥ずかしいんだけど!


「!…名前顔が赤い。はっ!!…まさか泣いてたのか!?」
「ええっ!?違いますよ!!」


なぜそうなった!
さすがに先輩のこと考えてましたなんて言えないけど。


「そうか…ならいいんだけどな。昨日のこともあったから」
「あ…。昨日は本当にありがとうございました」
「気にすんなって!また困ったことがあったら言えよ!!」



その笑顔は反則です。



「エース先輩はどうしてここに…?」


また熱くなりそうな顔をごまかすようにして言う。



「おぉ!そうだった」
「?」


何かを思い出したように教室を見渡すエース先輩。
そして私は想外すぎる言葉を聞くことになった。


「ルフィー!」
「!、エース!!」
「お前、また弁当忘れてたぞ」
「ありがとうエース!!」


目の前で行われるやり取りに呆然とする私。

え…?なになに?
二人はどういう関係…?


「気をつけろよ。お、もうチャイム鳴るな。じゃあな!名前も元気出せよー!!」



あっという間に去っていく先輩に私は何も言えず、ただ呆然と見ていた。

はっ!!ぼうっとしてた。
とりあえず聞いてみよう!




(ルフィ!)
(何だ名前?)
(エース先輩って…)
(ああ!エースは俺の兄ちゃんだ!)
(!?)


20111124


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