今日は体育祭。
学校の校庭で行われるそれは、学校と名がつくところには必要不可欠な大事な行事の一つである。
とはいえ、やる気があるかどうかは別問題なわけで。
運動は人並みにできるし、どこかをけがしているわけではないけど、自他共に認めるめんどくさがりな私にとって、それはただ寝てればいい授業よりもだるかったりする。
ということをナミに伝えたら、女子高生の思考とは思えない、と非難された。
…そんなことを言われたって、面倒なものは面倒なんだから、しょうがない。
「みんな!何としてでも優勝するわよ!!」
「「「「おぉーっ!!」」」」
そんな私とは正反対にみんなに気合いを入れるナミ。
………あれはお金が絡んでいると見た。
とりあえず、配られた赤いはちまきをつけて、出ないやる気を無理やり出してみることにする。
体育祭はどんどん進められて、盛り上がりを増していった。
そして私はあることに気づいてしまった。
いや、気づかざるを得なかったと言うべきか。
私たちの団、つまり赤団には異常なほどに運動神経が良い人が多い。
今だって一年生男子の800メートルリレーは、赤団がぶっちぎりの一位。
私のクラスメートである、アンカーのルフィ君が満面の笑顔でゴールする頃、最下位のチームはやっとアンカーにバトンが渡ったところだった。
それでも最下位のチームの人たちだって、私よりはみんな足が速いんだけどね。
でも、赤団の人たちはもう別格というかなんというか、とにかく周りの空気の流れかたからして違う。
二三年生も赤団が多くの勝ちを得ていた。
「…ねぇナミ、この学校は化け物の集まりか何か?」
「ばかね!うちのクラスは学力は壊滅的だけど、体育においてはどのクラスにも負けないすごい奴らが集まってるのよ!!大金賭けたんだから、これくらいしてくれなきゃ困るわ!!」
へぇ、知らなかった。
勉強も運動もぼちぼちな私に関しては、あまり触れないでいただきたい。
ていうかやっぱりお金賭けてたんだねナミ。
『一年生女子100メートル走に出場する生徒は、入場門にお集まりください』
集合のアナウンスが流れた。
「そういえば名前は個人種目100メートル走だったわよね」
「うん、行ってきまーす」
「絶対一位になりなさいよ!」
「…努力はしてみる」
ナミ、必死だなー。
そんなにむきにならなくたって、赤団は勝つのに。
遠くの得点表を見ると、赤団は二位と100点以上の差をつけて勝っている。
これならビリでも余裕だな。
(あぁ、走るのやだ)
20111010
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