「よ!」
「こんにちは」
俺はこいつのことを何も知らない。
性格はもちろん、名前だって知らない。
知っている情報はこの学校の一年生、つまり後輩であるということだけ。
そんな奴と俺はどうして挨拶を交わしているのかというと、…まあそれはほとんどノリだ。
最初に話したときは、確か俺が四時間目の授業で寝てて、購買で買いたかったパンが買えなかった日。
マルコに愚痴りながら階段を上ってるときに目があって、俺はノリでそいつに同意を求めてみた。
素通りされると思ってたけど、そいつは少しだけ驚いたかと思えば、意外にも返事を返してきた。
「ほんとにありえないですよねー」
せいぜい困惑した顔で、え?とか言われる程度だと思ったけど、その時くれた同意の言葉に俺は気分が良くなった。
そう、同情じゃなくて同意だったんだ、間違いなく。
だから、第一印象はノリが良くていい奴!
それから俺は何度かそいつに会うようになった。
というより、今まで会っても気づかなかっただけかもしれない。
とにかく俺はそいつに会うたび軽い挨拶をするようになった。
マルコに不審な目で見られたこともあるけど、それは気にしない。
だってあいつ、俺が挨拶すると必ず返してくれるからな!
きっと、いい奴なんだ。
名前も何も知らないし、きっと向こうもそうだろうけど。
だけど、お互い詮索もしないし、会っても本当に挨拶をするだけ。
端から見ればおかしな関係に思われるかもしれないけど、それでも俺は良くて、きっと向こうもそうなんだ。
そんな関係だからか、あいつにはなぜか他の奴とは違う何かがあるって思える。
(そういえば、あの後輩について今日、わかったことがある)
(彼女の名前は名前)
20111006
「奇妙な関係」のエース視点。
ナミとの会話を聞いて名前を知ったエース先輩(^O^)
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