家を出ていく前日の話だ
前の学校でいじめられた俺は親父の母校である郊外の学校(それも寮制の男子校)に転入することが決まった。その時、親父からそう言われたのだ。


そんなの当たり前じゃん。いじめられるのはもう勘弁だし。そう反論するとそういう意味じゃないと言った。

「今もでもそうなのか知らないがあそこは異常だ。だから常に空気でいろ。何があっても被害者にも加害者にもなるな」


聞いたときはなに言ってんだこのオッサンって思ったけど入ったら親父の言った意味が理解できた。
確かにこの学校は異常だ。

まず同性愛が当たり前なこと。次に制裁という名の輪姦や私刑が黙認されていること。最後に一部委員会が学校職員より権力を持っていること。

全く持って意味不明。
特に最後の委員会が学校職員より権力を持ってるとか一体どんな学校だよ


と思っていた学校にも少し慣れた頃、友達というものができた。
井川雅というやつでまぁ実際はただのホモだけど普通に良いやつだった。周りよりは割とマシだし。あと顔立ちが良い。なんでも母親がフランス人らしい。初めて聞いたときは通りでと頷いた。


そして今は数学の授業が潰れたため自習をしている。

「ねーねーありたんどうしてこの学校に来たの?マジキチばっかなのに」

前の席にいる井川が振り向き俺に質問をしてきた。