焼きすぎて焦げたフレンチトーストが恨めしそうに俺を見る。 そんな目で見るなよ、ちゃんと食ってやるからさ。 テレビに目を向けると女子アナと呼ばれる人が時刻はam7:45だと伝えてる。 夜に何度か電話をしたが、現在進行形であいつから電話はこない。これ以上無断欠席したら単位はやらんぞ、って糞教授が言ってたのに。 もやもやしながら鍵を閉めて家を出た。授業が終わってもあいつは電話をよこすことはおろか、大学にすら来なかった。 家に帰ると母さんが彼氏とセックスをしていた。それもリビングでだ。くそが、もうソファー座れねーじゃんか。暫くして俺に気付いたのか母さんの彼氏が腰を振りながら「よお、お帰り」なんて言うもんだから俺も気が抜けて「ただいま」なんて言ってしまった。 テーブルには使用済の注射器が幾つか置かれていたからきっと母さんが打ったんだろう。母さんの腕を引っ張る。 見てみたら案の定そうだった。腕を振りほどきながら「じゃましらいでよぉ」と、舌足らずにそう言う母さんを見て空しくなった。 部屋に行って着替えて母さんの彼氏の財布から「お小遣」を幾らか頂戴して朝のようにまた鍵を閉めた。 現在pm15:14。あいつからはまだ電話がこない。 今日は17時からバイトだった。バイト先では今日は早く閉めるからもう帰っていいよ、と言われ21時すぎに終わった。現在pm22:07。 暫く渋谷でぶらぶらしてたらメールがきた。 「今から飲みにいかね?」 あいつからだった。ろくにメールも読まずに電話をかけた。 「今どこ」 「新宿。お前は?」 「渋谷。今そっち行くから」 「おー」 なんだかあいつが疲れているような声をしていたから金もそんなない癖にそっちに行って飲むとか行っちゃって。 小走りしながらホームへ向かったらあいつから電話がきた。取ればあいつがこっちに向かうらしい。 適当に待ってたら電話がきた。母さんの彼氏からだった。 「お前のカーチャン、イっちゃったみたいだからお前のケツ貸せよ」 「しね」 そう言って電話を切った。ああ、あいつに会う前なのに最悪だ。帰ったら俺がしぬかもしれねーや。 …あいつは俺のこと嫌いになるかな。母さんの彼氏に抱かれてる俺を知ったら。 時刻はpm23:11 瘡蓋はいつまで経っても消えてくれない。 20121101 |