マスターによって、歌を歌っている津軽。
彼はとても綺麗な、色気のある声をしていて、奥で聴いているサイケはその心地よさに、ずっと聴いていたくなるほどだ。
けれど彼は何故か、演歌や懐メロしか、歌わない。
「津軽〜」
フォルダに戻ってきた津軽に、サイケは抱き付いた。
津軽はバランスを崩しながらも、サイケを受け止めた。
「お疲れ様さま津軽」
「あ、ありがとうサイケ」
控えめに笑った津軽に、サイケは抱き付いたまま尋ねる。
「どうして、津軽はジャンルが片寄ってるの?俺、もっと津軽の歌聴きたいな〜」
サイケが首を傾げると、津軽は困ったように笑った。
「でも、マスターは俺にああいう歌を歌って欲しくている訳だから…それに、俺が色々歌っちゃったら、サイケの歌がなくなっちゃう」
「俺はいーの!いつだって歌えるから。津軽はなかなか歌わないじゃない」
唇を尖らせて拗ねるサイケに、津軽はどうしよう、と眉を下げた。
「まぁマスターはあまり演歌とか聴かないから、仕方ないよ」
「じゃーやっぱり、津軽は歌わなきゃ!津軽良い声なんだから、絶対大丈夫だって〜」
津軽にしがみついて駄々をこねるサイケ。
津軽は困った表情のまま、サイケの頬を両手で包んだ。
「あのねサイケ。マスターは、俺たちに歌って欲しい歌を選んでくれてるんだと思う。だから、それに従わないのは良くないと思う」
「…それは分かってるよ」
しゅんと悄気るサイケは、何だか寂しそうで、諭しておいて、津軽も心苦しくなる。
「…あ、の、サイケ…」
「…なに」
津軽は視線を逸らし、言った。
「…サイケの前だけだったら、歌っても、良い…」
「!」
津軽の言葉に、サイケはパアッと笑顔になって津軽に抱き付いた。
「ありがと津軽!大好きvv」
チュッとキスをしてきたサイケに、津軽は頬を真っ赤にしながらも嬉しそうに、微笑んだ。
そしてマスターも知らない、津軽の綺麗な歌声はサイケだけが聴いている。
君の声を聴かせて
End
葵様より10万打フリリクで頂きました!
ほのぼのしてて可愛いサイ津をありがとうございます!とてもきゅんきゅんさせて頂きました!
これからもよろしくお願いしますね!
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