頂き物 | ナノ


どうしよう。どうしようと津軽が突然呟いて俺を見た。目に涙を溜めて俺を見て、いやきっと津軽は俺を睨んでいたのだ。
津軽は俺を睨み付けながら「どうしよう」と呟いて溜めていた涙をぼろぼろこぼし始めた。俺はなぜ津軽が泣いているのかがわからなかった。わからなかったけれど俺は彼に大して何かとてつもなくひどい事をしていたのかと思い必死になって津軽を慰めた。津軽は首を振る。

「違う、違う。ごめん。違うんだ、ごめんなさい。サイケ違う」

津軽がなぜ泣いているのかが俺にはよくわからない。なぜ津軽が俺を睨み付けながら泣くのかがわからない。
けれど津軽は泣いていた。大粒の涙をそのきれいで透き通った瞳からぼろぼろこぼしながら。せき止め切れない何かが津軽の中をかき回しているのかと俺は考えた。
その何かがわからず、俺は泣き続けている津軽の手を握って「泣かないで」としか言えない。

「持たなきゃ良かった。このままで良かったのに。あの人に触れられるかもだなんて、そんなことあるわけないのに」

う、と息を吐き出した津軽がまた泣く。
噎せて声が段々と掠れていってもそれでもまだ津軽の涙が止まらない。
そして時折俺へと送られる彼の生々しいまでの何かしらを孕んだ視線の意図も掴めないまま俺は握っていた津軽の手にそっと指を絡めていた。どうしよう、とまた津軽は呟く。俺を睨み付けながら泣く。
俺は泣かないで言ってどうしようもないじゃないと津軽に言い聞かせた。
津軽の涙が止まらない。

「違うサイケ。俺はこんなものが欲しいんじゃないのに。望んでもいけなかったんだ。でも、」
「でも津軽が泣くから」

こんなものって俺の体温のことだ。俺が津軽の顔を触るたびに津軽は首を振って違うと泣いて懇願した。
何が違うというのだろう。
俺には正直よくわからない。
津軽と名前を呼ぶと彼は涙に汚れた顔を上げて俺を睨み付けてくる。
今度は俺の番なのだろうか。

「津軽、津軽」

俺が触れるたびに彼のプログラムがどんどん浸蝕されていく気がした。
津軽はとても綺麗だったのに。



20100730
きれいごといわないの





ベジタリアンのヒロオ様から頂きました!
オフ会で生絵をあげたらサイ津くれた^////^
ありがとう凄い嬉しいはぁはぁ
これ十数分で打ったとか何ヒロたん凄いんだけど。いや知ってたけど。
あぁぁヒロたんから小説貰えるとか私幸せ者!



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