緑間くんがなに考えてるのか、わからないの。震えた声で告白した○○は俯いたまま、膝の上に置いた手をきゅっと握りしめた。


「まあ、真ちゃんてツンデレだし?好きな子にはなおさら、素直になんかなれないっしょ」


だいたい、素直な緑間なんて気持ち悪い。悪びれない自分の言葉に、少女の強張った表情がほんの少し緩むのを高尾はこっそりと盗み見た。


「厳しい事ばっかり言うのが緑間くんの本心じゃないって、わかってはいるつもりなの。でもね、」

「理解はしててもツンツンした態度ばっかじゃ、流石に落ち込むよな。わかるよ、たまにはストレートに優しい言葉が欲しいよな」


女の子は繊細だし?茶化す高尾の掌は、言葉とは裏腹に優しく○○の頭をなでる。手慣れているのは妹がいるからだろうか、普段されないような扱われ方に頬を染めながら、○○ははにかんだ。


「高尾くんって優しいよね。もう平気、ありがとう」

「だろ?だからさ、…真ちゃんやめて、俺にしちゃいなよ」

「え?」


高尾の言葉は言い淀むことなくするりと出てきたせいで、違和感もなかった。だから、○○はすぐに意味合いを理解できなかった。
急に引き寄せられた肩にバランスを崩して、わけもわからないまま、○○の唇に別の熱が触れた。


「キス、しちゃったね」


鼻先が触れ合うほど、互いの顔が近い。
何が起きたのかわからない。呆然と目を見開く○○に、笑顔を溢して。まるで壊れ物を扱うみたいな優しい動作で頬を包んだ。


「緑間がくれない分の優しさは、俺があげるから」


「俺のモノにも、なってよ」。囁く言葉と違って、覗き込む瞳はまるで心を全て暴くのではないかと思うほどに鋭かった。





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