家に着くまでがデート

私は部活が終わり、とぼとぼと家まで歩いていた

『つかれた〜』

独り言を呟きながら、重い荷物を持って歩いていると後ろから走ってくる音

『!!哲・・・!?』

振り向くと、彼氏である哲が走ってきていたのに驚いた

「はあ、はあ・・・間に合った」

どうやら野球部の練習が終わって急いできてくれたらしい

『は、走ってきたの?わざわざ?』

「いや、後ろ姿が見えたんでな・・・つい走ってきてしまった」

汗をぬぐいながら言う哲に若干見とれてしまった。しかも、その汗が私を追ってきてくれたからだと思ったら何かくすぐったくなる

『練習で疲れてるでしょ?』

「まあ、自主練だと思えば走るのなんて大したことはない」

言いながら哲は手をつないでくるから、不覚にもどきっとする

手をつないだあと、歩き出すのかなと思ったら立ち止まったまま

『ん?どうしたの?』

「いや・・・」

『?』

どうしたんだろうと思って首をかしげていると

「名前の手は安心するな・・・・」

『・・・・・・え?』

突然そんなことを言ってきたから私は驚きの声をあげる

「行くか・・・」

手を引いて哲は歩き出す

『・・・・でもきれいな手、してないよ?』

私は哲の言葉を受けて、さっきの続きを話し始めた

「・・・・名前」

『きれいな手してない・・・指も太いし』

本当のことだ。部活上たくさん突き指もしてきたし、ちょっとした怪我もしてきた

『!!哲・・・?』

ぎゅっといきなり強く握ってきたから私は哲を見ると

「俺は、名前の手じゃないと安心できない」

『え?』

「名前の手を握りたくて、走ってきたんだ」

『!!』

そんなことを、きれいな笑顔で言うから私の心臓はうるさい

『・・・・ありがと』

小声で言えば、哲はまたぎゅっと手を握ってくれた

『哲って、素直だよね』

「ん?なにがだ?」

『素直すぎて、私の心臓が持たない・・・』

目をそらして言えば、ふっと笑いが聞こえてまた哲を見ると

「ふっ、どっかの誰かが素直じゃないからな」

『!!う、うるさい・・・』

ぶすっとした表情でついつい言ってしまう

「それに、こういうときじゃないと言えないだろ?」

『・・・・哲』

なんとなく、なんとなくだけど、部活が忙しくて時間がとれないことを言っているのかななんて感じ取った

『哲・・・・』

「ん、なん・・・ん」

振り向いた拍子に手を引っ張って引き寄せてキスをした

『さみしくないから、大丈夫』

「!名前・・・」

いこっと言って手を引けば、また歩き出す私達

帰り道の数十分が私たちにとってとても大事・・・

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