マネージャー、文字通りマネジメントをする人です。つまり管理をするということです。何の管理かというといろいろですが、私はサッカー部のマネージャーなので選手の体調や記録の管理、ユニフォームの洗濯やドリンク作りもします。選手がちゃんとした環境でサッカーが出来るようひたすらサポートをしていれば良いだけなので、それ以上は望めません。

…そうは分かっていても、それ以上を望みたいことだってあります。



真っ白なタオルが山積みになったカゴを抱えベンチへ向かうと、一軍のフィールドでは紅白戦を行っていました。御門先輩がディフェンダーを抜き、ゴールへ走ります。御門先輩の真剣な表情。思わず心臓が高鳴り、目で追ってしまいます。
そのまま御門先輩のボールがゴールに突き刺さり、それを見届けた佐久間コーチが「休憩!」と片手を上げました。同じマネージャーの先輩に、名字さん?と顔を覗き込まれ我にかえります。…思わず見とれてしまいました。
フィフスセクターが問題になっているのにも関わらずサッカー部は今日も調子が良く、そのキャプテンが御門先輩だと思うとなんだか嬉しくなります。


マネージャー数人で選手達にタオルやドリンクを配る中、私はいつものようにタオルを持って真っ先に御門先輩に向かいました。…できるだけ自然に、です。

「どうぞ、」
「ああ、ありがとう」
「そ、その、さっきのシュート、すごくよかったです」

御門先輩の目を見ながら、ジャージの裾を掴む震える指先に力を込めて、そして自然に。そんな私を知ってか知らずか御門先輩は一瞬きょとんとするとすぐにまた「ありがとう」と笑いました。…控えめな笑顔が素敵です。

「パス回しも悪くなかったんじゃないかと思う。この調子でどんどん行きたいな」
「ええ」

御門先輩はごしごしと汗を拭います。…それ以上話すことを考えていなかった私は急に恥ずかしくなってその場を離れました。ベンチに散らばるストップウォッチを集めます。


御門先輩と話せたことで、今の私の頭の中は嬉しいのやら恥ずかしいのやらでいっぱいです。ちらりと御門先輩の方を見ると、何事も無かったかのように龍崎先輩と話しています。御門先輩にはなんてことはない会話でも、私にとっては一言一区気が抜けません。

私はマネージャーなのだからただサポートをしていればいいのです。そうすれば御門先輩達だって良い環境でサッカーが出来ます。でも、でも、少しくらいどきどきしたいのです。普通の女の子ならきっとみんなそう思うんじゃないでしょうか。


110912


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