「やばい!後3分で校門閉まるっ!」

朝から全速力でペダルを漕ぐ俺。
やっぱり20分寝坊したんはきつかったな…。
せやけど!

「ここが浪速のスピードスターの見せ所やっちゅー話や…!」

残り1分、見えた…!これで俺の完全勝…

「ぬおおぉぉぉ!」

次の瞬間、俺の自転車と俺はそれはそれは見事に空中を一回転し、転倒したらしい。(白石談)



「もー、ほんまにあほちゃうん?」
「いや、やってあんなとこに石が…しかも割とでかい」
「石?あたし今日の朝委員会で門のとこ立っとったけど、そんなんなかったで?」
「え、それ何時頃の話」
「あたしが教室戻ったんは…始業3分前やな。あんたこけんの、窓際の子は皆見とったで〜?うちもやけど。」
「うっわ、なんちゅーついてない…」

放課後、皆が帰った教室で俺はため息をついた。
それ見て、まぁ気にしなや〜、って呑気に笑っているのは同じクラスの花月で。
ちらっとそっちを見たら、ん?と首を傾げる。
あー…可愛いよな…。

っていうか。
なーんであないな格好悪い所を…あああついとらん。ほんまについとらん。今日は厄日か。あ、でも花月と日直やけど…。…やっぱついてるかもしれん、こけたとこは見られたけど、それと一日日直を天秤にかけたら安いもんっちゅー話やな、うん。いや、別にこけんでも良かったけど…。あれやっぱ…

「こーらー。謙也ー。うちの話聞いてるん?」
「え!あ、すまん!どないした?」
「ほんまにー…これ書き終わったから先生とこ持って行っといたるわ、って言うたの。でも謙也聞いてなかったし?やっぱやめよかなぁ〜」
「やから堪忍!ほんまに!聞いてなかったんは謝るから!」
「ぷっ…はは、ええよ。堪忍したる。友達やしな。それに、白石から今日は早よ来い言われてたやろ?」
「ああっ、忘れとった…!すまん、ほんなら!」
「はいはいー、ほなね」

最後教室を出る直前振り返ると、花月とばちっ、と目があって。
にこにこ笑いながら手を振る姿を思い出しながら、ひたすらばくばくいう心臓をごまかそうと廊下を走った。


恋のつぼみ
(めちゃくちゃ好きやっちゅーねん)


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ウォークマン様に提出させていただきました!







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