壊れた。愛しい奴は。愛しい奴の世界は。愛しい奴の全ては。


「ルーク」


名前を呼んでみる。愛しい奴の名を。でも、返事はない。


「ルーク」


また呼んでみる。また返事はない。俺はルークを抱きしめる。ルークの顔は俺の胸に埋まる。


「ルーク」
「ルーク」
「ルーク」


何度呼んでも返事が返ってくることはない。

俺は手に入れたんだ。ルークを。あいつから…ジェイドから奪ったんだ。でも、何故だ?心が満たされないのは。手に入れたのに、傍にいるのに、触れ合ってるのに、心は満たされない。


「愛している」


そう告げても返事は返ってこない。

後悔は…少し、している。けど、後悔しても、もう遅い。もう戻れない。俺もルークもジェイドも。俺は罪人。ルークは人形。ジェイドは裏切り者。戻れない。もう俺たちは…前みたいには戻れない。きっと…。





人形に愛を告げる
何度でもその名を呼ぶ