玩具は言葉が理解出来ないらしい。忠告してやったっていうのに…。そんなに俺に遊ばれたいのか?なら、お望みどおり、遊んでやるよ。


「…ガイ…!?」
「寝てると思ってたか?」


バチカルへ行く前日。俺たちはシュリダンでナタリアの気持ちが整理出来るのを待っていた。

そして、夕方…俺は見ていた。ルークがナタリアに声をかけようとしたところを。でも、そこに…アッシュが現れた。オレンジの光に照らされながら、二人きりで話すナタリアとアッシュ。

腹が立って仕方なかった。俺は忠告した。ナタリアに近付いたらどうなるか。ルークの邪魔をしたら。今日は手加減しない。言うことが聞けない玩具には、たっぷりお仕置きをしないとな。

俺はアッシュがシュリダンから出るのを待ち続けていた。俺の予想通り、あいつは北側の出口から出ようとしていた。時刻は深夜を過ぎている。誰にも見られずこいつと遊ぶことが出来る。


「何でてめぇがここに…」
「そりゃあ…玩具と遊ぶためか?」
「…ッ…!?まさか、お前…」
「ああ、見ちゃったんだよ」


バレてないとでも思ったのか?甘いお坊ちゃんだな。


「今、俺がどんな気持ちか分かるか?」
「………さぁな」
「お前を殺したい程苛立っている」
「!?」


アッシュを壁に追いやる。唇が触れそうなところまで顔を近付け、そう言ってやる。


「俺はお前が大ッ嫌いだ」
「知ってる」


そうだよな、俺が言ったんだから。すると、アッシュは微笑した。

この状況でよく笑えるよな。今の俺はいつでもお前を殺せるんだ。


「よく笑えるな」
「ああ…自分でも自分が変に思えてくる」
「…?」
「ガイ、今日は何をするつもりだ?」


嗚呼、そうか…今、分かったよ。こいつが笑った理由。もう負けを認めているんだ。俺からは逃げられない、と。だから、望みを叶えてやった。俺を求めているこいつに。


「ガイ……ああああぁっ…!!」
「…ッ…!!」


俺はアッシュに己の欲を放った。アッシュを俺でいっぱいにした。もう俺しか考えられないように。


「どうだ?満足したか?」


そう言うと、お前はまたあの笑みを浮かべる。虚ろな目をしながら。


「お前こそ…満足、したのかよ…」
「ああ、したよ。どうだ?俺に痛めつけられた気分は?正直に答えろ」
「………最高、かもな」


この言葉を聞いた瞬間、思った。こいつは完全に狂った。俺がこいつを壊した。そう、確信した。





それは狂った玩具
未完成の玩具は
完全な玩具へ






少しは幸せにしようかと思ったけど止めたらアッシュがドMになってしまった。本当はあのアシュナタシーンは早朝ですが、話の都合で夕方にしました。